「愛することってこんな気持ち悪い行為だったけ?」君が君で君だ oshidaさんの映画レビュー(感想・評価)
愛することってこんな気持ち悪い行為だったけ?
気になっていた邦画がアマプラ入りしていた。ラッキー。
松居大吾監督の完全オリジナルストーリー。
満島真之介、池松壮亮、大倉孝二が主演をしている。こんなの面白くないはずがない。
なんだか文字にするとすごく薄っぺらくなってしまうんだけど、なかなか狂気に満ち溢れている作品だ。
名前を捨てるとはどういうことか、3人それぞれが姫の好きな男(尾崎豊、ブラットピット、坂本龍馬)として生きている。姫の部屋を監視し盗聴し同じ時間タイミングに食事をして排泄をする。
そう、彼らは姫になりたい。その気持ちが愛と言わんばかりに。
明らかにこの常軌を逸している物語を果たして人は純愛と呼ぶのだろうか?
あまりにも気持ちが悪く暑苦しい。だけど感動してしまう。それは常識を持ったぼくには到底太刀打ちできない愛の物語だから。
あれ?愛ってこういうことだっけ?自分、まだまだなんじゃないの?って思ってしまうぐらい彼らは本気を見せつけてくる。愛について、そしてこの狂気さが正しいんじゃないかと思わせる圧倒的な演技力。僕はこの作品を見て池松壮亮という役者のことが好きになってしまった。
これはハッピーエンドなんかで終わらない。
気持ちが悪いまま、どうなるかわからないまま終わる。
実ってほしい気もするし、実ってしまったら姫の身が危ないような気もする。
愛とはこういうことだ!なんて思わない。YOUではないけど「あんた誰かにこんな愛されたことある?」である。
監督は好きな人と「同化」したいらしい。「愛がなんだ」のテルコと一緒だ。好きな人を一種の神格化してしまう。多分きっとそういう人は一生好きな人と一緒になることはないのだろう。
幸せになれるのは向井理のような“中途半端”なやつだ。
どっちが幸せかは人それぞれな気がするから正解なんてないんだろうけど、自分が満足する人生を歩みたいと思う。