「下敷きになっているのは、ある有名な物語(怪談)、という一作。」ワンダーウーマン 1984 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
下敷きになっているのは、ある有名な物語(怪談)、という一作。
前作『ワンダーウーマン』(2017)に引き続いてジェンキンス監督とガル・ガドットが登板。前作とは年代が隔たっているため、物語の主筋は前作とは独立しているものの、ある人物の役割を理解するためには、前作の鑑賞がほぼ必須となっています。
ダイアナのゴージャスな戦闘衣裳など、確かにこれは80年代!で、なんで今回の舞台が1984年なのかというと、ジェンキンス監督が個人的に思い入れの強い時代だったからだとか。そんな個人的な動機で設定して良いのかと思わなくもなかったけど、映画的な面白さがあれば全く問題なし!
では作品としてはどうか?だけど、上映時間150分というかなり長尺であるにも関わらず、そこまで長く感じさせない演出は見事。ガドットは相変わらず、どこか浮世離れしたダイアナを好演。ただ前作からダイアナの性格描写に拍車がかかって、もはや王族の皇女だから、というより単に周囲が見えていないのでは…、と感じてしまうこともしばしば。この「目の離せなさ」が強い吸引力となっていて、中だるみをかなり軽減しています。実際のところ物語上の敵役も、ダイアナ達が巻き込まれるある「仕掛け」も、理屈の面でかなり弱くて、もし本作の魅力として謎解きやサスペンスを前面に押し出せば、恐らく相当評価が厳しくなったのではと思わせてしまうほどでした。それを救っているのだから、ガドットの存在感は大したものです。
そしてダイアナ達の搭乗する戦闘機の選定に強いこだわりが見えたり(座席の構造が物語上この形でなければならなかった)、まさかチーターがあのような形で登場するとは、と驚くなど、細かいところで楽しませてくれる作品です。