「混ぜるな危険」マインクラフト ザ・ムービー 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
混ぜるな危険
【パイロットが戦闘機に乗る→操縦桿を握る】
これと同じ意味で、
【ジャック・ブラックがモモアに乗る→髪の毛を掴む】
この奇妙な関係を、違和感なく成立させてしまう手腕、
これこそが、
さすがはジャレッド・ヘスという一言に尽きる本作最大の功績だ。
彼のオフビートなユーモアセンスと、
ジェイソン・モモアとジャック・ブラックという、
本来であれば交わることのない、
【混ぜるな危険】のような二人の役者の、
奇妙なケミストリーによって、この世界観は確かに成立している。
さらに、
モモア演じるキャラクターにアンダードッグとしての設定を付与し、
また、
マルゴーシャの闇落ちに至るトラウマを物語に組み込むことで、
観客の感情に深すぎず重すぎずフックを掛けておく。
これは、
ゲームの世界観に過度に重たいリアリティを持ち込むことなく、
しかしキャラクターに感情移入できるだけの最低限のドラマを共存させるという、
絶妙なバランス感覚は高い技術の自信と経験由来のものだろう。
一方で、
ストーリー全体を通して感じるカタルシスの不足は、
本作のマインクラフトというゲームが持つ性質に起因する宿命とも言える。
敵がゾンビや子豚のような、
どこか愛嬌のある存在であるため、
彼らを殲滅することに、
いつものエンタメストーリーのような、
強烈な達成感や爽快感を得にくいのだ。
しかし、
これは見方を変えれば、
「敵を倒す」という定型的な物語の構造や、
シューティングゲーム風なシナリオに安易に囚われず、
マインクラフトが持つ「創造と探索」、
あるいはその世界におけるサバイバルという本質に焦点を当てた結果とも解釈できる。
そして、その本質を体現し、
観客をその世界へといざなう役割を担うのが、
ナタリーやヘンリーといったキャラクターたちなのだろう。
木を切る、栽培するといった基本的なアクションは登場するものの、
「ワールドを削除する」「コピーする」
といったゲーム的なメタ要素を安易に濫用せず、
あくまでキャラクターの物語を軸に、
シンプルなストーリーラインを維持している。
また、
デニスのようなペットキャラクターを、
単なるマスコットとして画面に飾りとして置くのではなく、
物語の中でしっかりと役割を持たせる構成力は、
これも高技術の技と言えるだろう。
彼らの存在が、
キャラクターの関係性や物語の展開に有機的に絡んでくることで、
ドラマに一定量ではあるが厚みは増すことに確かに機能はしている。
副校長と町の人のラブは、
機能しているかって?
スピンオフを観たいです。
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