劇場公開日 2018年6月23日

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「現実と非現実の曖昧な境界線」猫は抱くもの バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 現実と非現実の曖昧な境界線

2025年7月13日
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鑑賞方法:映画館

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こういう現実とファンタジー(もしくは幻想)の境い目が曖昧な物語を描かせたら、犬童監督の右に出る者はいない。思えば『グーグーだって猫である』(映画版&ドラマ版)も『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』もそういう作品だった。実際、観終わった後もどこまでが現実でどこからが主人公の妄想だったのかよくわからなかったりする。

本作は映画の7~8割が舞台形式で描かれるという野心的かつ実験的な作品だが、これがまた良い。舞台出身の監督が映画の中に舞台的表現を持ち込むと違和感を感じることが多いが、犬童監督はあくまで映画監督のためかそのような違和感を全く感じさせない。そして猫たちを全て人間の役者が演じているのも極めて舞台的表現で、それが見事に成功している(一部アニメーション・シーンもあり)。

主演の沢尻エリカも、夢を失い、人に裏切られ、傷つき、妄想の中に逃げ込んでいくアラサー女性を見事に演じている。この人もいろいろあったけどがんばってほしいものだ。峯田和伸もやはり好演で、2人のクライマックス・シーンが素晴らしい。そして吉沢亮やコムアイら猫を演じる俳優陣も見事な猫っぷり。いやぁ、面白かった。

バラージ
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