劇場公開日 2018年6月23日

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「彷徨い血迷い見目好い人」猫は抱くもの KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0彷徨い血迷い見目好い人

2018年6月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

私は猫がそんなに好きではないし、猫と見ればすぐ可愛い可愛いと騒ぎ囃したてる世の中の風潮を常より甚だ疑問に思っている。
それでもこの映画に出てくる猫たちは、なんだか愛しく可笑しく可愛く見えた。
擬人化させることで猫に対しての見方が変わって、一々ハラハラしたりホロリとしたりホッコリしたり。
純粋な子供のような話し方の良男に感情移入してしまい、全然何とも無いような場面で涙が出てきた。

元アイドルの超絶美女である時点で共感も何も無い沙織の、絶妙なダサさには気の抜けた笑いが出てきた。
「ツンデレ、デレ抜き」な職場仲間への態度といいゴッホへの高飛車な物言いといい、ちょいちょい引っかかる点はあれど。

一度丸裸になって、今までの自分を認めて今の自分を許し愛することが必要なのは、彼女だけでなく世界中のどの人にも言えることで、それを許してくれるこの映画に救われたような気になる。
ゴッホのような人や良男のような生き物がそばにいたら面白いだろうな…
観て良かったと思える映画だった。

舞台のような演出やアニメーション、音楽の使い方がなかなか今までにないようなもので面白かった。
沙織を軸にした本筋はわりとシンプルなんだけど、あちらこちらに展開し寄り道するストーリーを夢のような演出で無理無くまとめていたので全然飽きることなくずっと観ることができていた。
拍子抜けするようなトンデモ展開に萎えることも幾度かあるけど、すぐに持ち直す力があった。

好き嫌いは分かれるだろうけど、私は好き。現実味の無さが非常にマッチしていて良かったと思う。
水曜日のカンパネラが手がける音楽も良かった。
そもそも普段から聴いている音楽なので耳馴染みが良く身体に浸透してくる。

沙織と良男がじゃれ合うシーンにて、沢尻エリカの顔が小さすぎて遠近が狂うことが多々ありちょっと面白かった。

KinA