「不穏な空気感」黒い箱のアリス MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)
不穏な空気感
ジャンル系作品の映画祭で好評価になりそうな作品だ。
簡単に言うとタイム・パラドクスだが、黒い箱の正体や、途中で登場する若い姉弟の詳しい正体など、それっぽい描写の数々が描かれる割には何も明確に判明しないのである。主人公のアリスと観客が同じ立場で黒い箱と向き合える様な構成になっているのかもしれないが、最後まで不穏な空気感が異様なまでに漂う意味深な作品だった。
テンポ良く描けば恐らく30分弱で終わりそうな話だと思うが、本作は一つ一つの描写が長尺であり、それが独特な世界観を醸し出しているのである。それらの描写の数々は大変気に入っている。俳優陣の演技力もなかなかだが、この監督の今後の作品にも興味が湧いてくる。
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