「記憶を無くせば人は生まれ変われるのか」(r)adius ラディウス REXさんの映画レビュー(感想・評価)
記憶を無くせば人は生まれ変われるのか
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突如与えられた能力の謎、無くなった記憶の謎、能力を与えた存在の謎。
この三つの謎が平行して描かれ徐々に核心に迫っていくが、最終的には人間の生まれながらに持つ性質は善であるという、性善説を描きたかったのかもしれない。
人間の現在を形成するのは積み重ねた記憶。積み重ねたものが無くなったら、そこには素の性質がある。
主人公リアムの暴かれた記憶はとんでもないもので、それまで感情移入していた視点をぶっつり切ってしまう大胆な展開だったが、プラズマ生命体(?)が何故この男にこの能力を与えたのか?という疑問に、解を与えているのかも。
要するにプラズマ生命体は、殺人鬼にこの能力を与えれば、勝手に人類を滅ぼしてくれると思ったのかもしれない。その目論見は外れて、人間の本質は助け合う精神が備わっているものであった、ということ。
もう一つの解釈としては、未知のエネルギーに触れた二人は、その時の心理状態に起因して能力が発生したのではないかということ。
リアムの能力は、その時の殺人の欲望に引きずられ、ジェーンの能力は姉を助けたい、もしくは自分が助かりたいという願いから引き起こしたもの。
いずれにしても、リアムの能力の謎に気を取られすぎず、記憶を無くせば人は生まれ変われるのか?という点で鑑賞すると面白かった。
カナダ制作と言うことだが、ジェーン役の女性がどことなく同郷のキャリー・アン・モスに似ていた。
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