ショートウェーブのレビュー・感想・評価
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喪失と共鳴という視点
2016年の作品
SFスリラーというジャンルのようだが、単なるホラーに近いサスペンスのようにも感じるし、謎な部分が多いことから視聴者に考えろと言っているような気もした。
この物語の軸
ひとつが娘がいなくなってしまった夫婦の物語
もう一つが、宇宙人との接触
この物語がややこしいのは、この宇宙人との接触を謳っておきながら、実際には正体不明の生物がこの地球上に2体いるという変わった設定
そしてこの生物が何者なのかはよくわからないが、主人公イザベルが娘を亡くしたその感受性に深く共鳴しているということ。
この謎の2体が地球上で何に関わっているのかわからない。
同時にこの2体がイザベルに共鳴していることははっきりとしている。
この謎の生物が共鳴するのが、イザベルのような心境に陥った人だった。
これに気づいたのが研究者トーマスで、イザベルの夫ジョシュの同僚
このトーマスが、地球にいる謎の2体を調査するためにイザベルを「利用」したというのがこの物語の核心となっている。
さて、
この謎の2体
イザベルと共鳴する理由はよくわからないが、娘が誘拐されてしまったという部分に共鳴するようだ。
なぜこの生命体をトーマスが気づいたのかは明かされない。
このチームが、宇宙生命体と交信できたことが明かされるが、ジョシュは同時にこの家に送信者がいることを察知した。
当然ジョシュは娘の行方不明について知ることはない。
真実に迫っていたのはトーマスだけだった。
そのトーマスに、謎の2体から共鳴を受けたイザベルが攻撃する。
子どものアブダクション
アメリカで起きている事実 年間36万人から80万人に上る18歳未満の行方不明者
この作品はこの問題に踏み込んでいるのだろうか。
謎の2体
イザベルの記憶では出産したばかりの子供を取り上げられるシーンがあった。
これは事実だったのか、またはアマンダの喪失からの幻想なのか?
イザベルの共鳴は、謎の2体による実行でもある。
夫ジョシュを自殺させたのは、夫も実はトーマスの計画に同調していた可能性を示唆するが、ストーリー方それはないように思う。ではなぜジョシュは自殺させられたのだろう?
もしかしたら、ジョシュが唯一イザベルを救うことができたはずなのに、そこにたどり着けなかった罰だったのかもしれない。
では謎の2体の目的は何だったのだろう?
共鳴を考えるとそれは、人間が深く傷ついてしまうことに対する嘆きのような同調があるからだろうか?
その悲しみに対する慰めが、共鳴を呼ぶのかもしれない。
彼らはこの地球という非常にネガティブな感情で埋め尽くされている環境で、少しでも慰めになることを提供するために居ついているのかもしれない。
もしかしたらそんな存在がこの地球で活動しているのかもしれない。
さて、、
物語はイザベルの復讐で幕を閉じる。
家から出られないようにされたイザベル
謎に2体と交信させようとしたトーマス
このことはマネージャーのロバートも知っていたはずだ。
だからイザベルは彼を刺した。
グル
大義名分と嘘
さて、、、
この作品はSFとして正しいだろうか?
物語で暴かれたのが人間による恐怖とも言うべき仕業
それを慰めに来たはずなのに、逆になってしまった現状 謎の2体
この矛盾というのかジレンマはかなりのものだ。
また、
このタイトル 短波
日本では北朝鮮の工作員が使用していることが頭に浮かぶ。
つまり、怪しいのだ。
そして物語の多くにイザベルの幸せだった頃の回想が挿入される。
同時に、閉じ込められた近未来的なハウス
自然とのコントラストと不協和音的な音楽
それはもちろん彼女の心情だ。
どんなに雄大な自然の中にいても忘れることなどできないこと。
感情こそが、人生の設計図だ。
それを他人によって汚されること。
この罪
これこそが宇宙で最も悪い行為だと、この作品は言っているのかもしれない。
個人的には好き
作品は「悪くない」位の完成度であり、大どんでん返しや、納得のいく構成とまではいかないが、個人的にはこの空気感、作品が放つ存在感が妙にハマった。無機質な住居に美しい自然。自然光のような優しく白みがかった映像、そこに突如として現れるショックシーン。決してテンポの良い作品とは言えないが、アート作品として見ると物凄く高品質に思える。絵的には地味であるため、サクッと観たいときには向かないかもしれないが、落ち着いてゆっくり観たい時には最適の映画なのではないかと思う。しかし心穏やかに鑑賞していると急に驚かせるシーンがある為、思っていた以上に驚く。
タイトルのショートウェーブとは、短波無線の事を指すのだが、謎の短波無線を旦那が仲間と研究をしており、それと共に幻覚とも取れる不可思議な現象に見舞われるという設定なのだが、冒頭で主人公夫妻は子供が誘拐されており、その傷が癒えないまま2年間を過ごしているという状態なのである。時折楽しかった頃の良き思い出がフラッシュバックの様に描かれたりもする為、ある程度鑑賞していると、短波無線の正体は二人の子供なのでは・・・と勘ぐってしまうが、そういった感動物語ではなく、いい意味で裏切ってくれた。また、主人公がかなりセクシーである。薄着で部屋を歩き回るシーンが多く、男性目線で見るとそこも注目かもしれない。
他人に大体的にオススメ出来る作品ではないが、好きな人はハマれる映画だと思う。
YOUは何しに…
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