アニマルズ 愛のケダモノのレビュー・感想・評価
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恐ろしいがまあまあのハッピーエンド?
87年、オーストラリア郊外の静かな町で、17歳の女子高生ビッキーが誘拐された。犯人は連続女子高生監禁殺人犯の中年カップル、ジョンとエブリン。横暴なシリアルキラーのジョンと彼を盲目的に愛するエブリンはビッキーを蹂躙して楽しむが、ジョンがビッキーを独占しようとしたことからエブリンが嫉妬心を募らせ、2人の関係にほころびが生じはじめる。エブリンは」ビッキーの挑発にもかかわらずナイフで刺せず、ジョンが首を絞めようとするところを背後から刺してしまう。ビッキーは手紙に自分の居場所を密かに伝えるメッセージを残していた。
ビッキーは無事にシリアルキラーから逃れる事ができ、めでたし?
♪愛がすべてさ今こそ誓うよ~♪
原題『Hounds of Love』ということで、引っ掛けてみたのだがそんなおちゃらけた作品ではなく、誘拐、監禁・レイプ・殺人のコンボな内容の作品である。どうも、昭和62年12月にオーストラリア、パースで実際に起こった事件が元の題材である。シリアルキラーな男と、同棲している洗脳された女が、未成年の女児を連続してさらっていくストーリーだが、ある女子高生を誘拐したところから綻び始める展開となる。
但し、レイプシーン等は直接的には描写はせず、前後のシーンで収めている。ま、色々大仰にSM道具を木箱に入れて持って行く場面で、相当の想像力を掻きたてられるのだが・・・
犯人のカップルや、女子高生、そしてその母親の心理描写を丁寧に、しかも効果音を最大限駆使して、ギリギリとした切迫感をきちんと表現しているところが、ちょっと古い演出だがそこがなかなか興味深い。一寸残念なのは、脅かされて親に手紙を書かせられる際、機転を利かせた女の子が、暗号めいた文章を書いて、それをボーイフレンドが解読し、両親とも助けに行くところの件はキチンとその暗号の解読を説明するシーンが必要なのではと思うのだが、それでなくても余り詳細な説明が為されぬ儘(男は何で金をせびられているのか、女の子供はこの男に殺されたのか?等々)、どんどんストーリーが進んでいくので、置いてきぼり感が否めない。ラストのシークエンスも一寸冗長かなと思ったりもしたが、これが一応ハッピーエンドという変な裏切りがないことである程度仕方がないプロットなのであろう。ま、古今東西、この手の犯罪は似た傾向になっているので、オーストラリアの話とはいえ、日本でも理解できる内容になっている。変にルーチンワークを好んだりね。洗脳の巧さや、非現実的な状況に追込まれたときの人間の思考停止の様等々、かなり参考になる作品なのであろう。クライムサスペンスとしては、よく頑張った内容である。
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