「美術、映像は良いがストーリーが陳腐すぎる」移動都市 モータル・エンジン tabletapさんの映画レビュー(感想・評価)
美術、映像は良いがストーリーが陳腐すぎる
個人的には、部分部分楽しめたので採点甘め
SF作品でそれなりにコストがかかっていて新規性のある映像作品、という点で評価
ただしストーリーなどは陳腐過ぎて映画としては3点以下、人を選ぶ
ポストアポカリプスものでスチームパンク的
ランドマークとしての移動都市のインパクトが大
3つくらい派手な都市が出てきて映像的に満足感もある
一方でアクションシーンが不足している。ジャンプだけではワクワク感がない。
最初宣伝で見たときに、完璧に『キノの旅』の迷惑な国(2003年刊行)だと思ったが
原作『移動都市』の刊行が2001年なので移動都市のほうが先行していた
その他『砂ぼうず』『風の谷のナウシカ』『マッドマックス』などを感じる
SF好きならこの作品のSF闇鍋感は楽しめるだろう
・過去の遺産(オールドテク)を活用して生活を成り立たせる
・都市間自然淘汰主義
という設定からかなり無理のあるデザインや、生活が描かれるが
しかしこれが非常に面白い
昨今のSFはリアリティを優先しているせいか
入力デバイスやスクリーンの面白みがない
デバイス自体身近になっているため、昔の映画のような特別感もない
しかし本作で登場するデバイスは発掘された部品を活用しているため
機能的にはスーパーテクノロジーで、インターフェースはローテクという
ギャップがとても面白いと感じた、ここで大きく加点している。
都市を狩る意味がわからなくて最初視聴を停止したが
『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』のデロリアンのように、
ゴミをエネルギーにするような仕組みが出てくるなど
一応無理のある設定も「この世界はそうなっている」という納得感は出せていると思う
問題のストーリー
まず、原作そのままなのだろうが、ティーンエイジ小説のような内容で、
これが合う合わないがある。私は冒頭の展開からわかっていたので許容範囲だった
キャラクター
・顔に傷のある少女
・巻き込まれる軟弱男
が主人公なのでこれがそもそもあまり魅力的じゃない(役者はそれほど悪くない)
成長を描くわけでも、物語を左右する選択を過去の積み重ねから演出するわけでもないので
とにかく作中の演出が悪い
特にキャラ付け程度に顔に傷つけているように感じるのが駄目だ
他の登場人物も行動に「????」となることが多数あり
また、端的に語られるエピソードのボリュームが少なすぎるので
物語に厚みを感じない。
少なくとも主人公二人の半生がわかるようなセリフが挿し込まれるべきだった
そのせいで中盤のターミネーター+ロボコップとの別れもなんだか微妙な展開だ
ほんのちょっとのセリフで変わったのに、もったいない
ロマン設定を詰め込んだ作品だという認識を持って
ストーリー、キャラクターについてはある程度許容して視聴するのが適当
美術に対していろいろ思いを巡らせると楽しみ方も変わってくる。
たまにはこういう作品があってもいいと思う