劇場公開日 2019年3月1日

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「ピージャクの動く都市の原動力は、日本アニメ?」移動都市 モータル・エンジン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ピージャクの動く都市の原動力は、日本アニメ?

2019年8月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

興奮

まず、その奇抜な設定や世界観、壮大なスケールやビジュアルは面白い。
“60分戦争”で全てが荒廃した未来世界。生き残った人々は、移動型の都市で暮らしていた。
荒野を車輪やキャタピラで爆音を立てて爆走。何処かレトロな都市のビジュアルは、SF/ファンタジーと言うより空想科学活劇風。
巨大な移動都市は小さな移動都市を見付けると、砲撃などで攻撃を仕掛ける。最後は丸呑み!
その狩りの様は、住人最大の娯楽。歓喜熱狂。
捕食された都市は捕食した巨大都市の資源や食料、労働力に。
弱肉強食、過酷な格差の世界。
迫力の映像で語る冒頭シーンは圧巻だ。

巨大移動都市“ロンドン”の指導者、サディアス。
その彼へ近付く一人の少女。サディアスに母親を殺され、自身も顔に傷を負ったヘスター。
少女の復讐劇。
が、歴史家見習いの青年トムに阻まれる。
さらに、サディアスによって荒野に放り出され…。
少女と青年の出会い、冒険。
二人の前に現れる賞金首の女、謎の人造人間“復活者”…。
移動都市に反旗を翻す反移動都市同盟。
サディアスは恐ろしい陰謀を企む。
復讐、反撃、革命…各々の命運を懸けた決戦の火蓋が切られる!
本筋は王道とも言える様々たっぷりの要素を詰め込み。

中でも特に気に入ったのは、“復活者”のシュライク。
ある約束の為にヘスターを付け狙う。
一見ヘスターの敵のようでもあるが、母親を殺され荒野で力尽き倒れたヘスターを拾い育てた、親代わり。
交わした約束とは…。
今は機械の身体だが、かつては人間。
時折朧気に蘇る人間だった頃の記憶、ヘスターとの関係…。
機械故“ハート”は無い筈なのに、まだ…いや、今も何処かに微かに…。
意外や、感動ポイントのキャラ!

以上、良かった点。
賛否両論、大コケ。結構辛口意見が多いようだが、そんなにつまらなくはない。面白味はある。
が、難点・イマイチ・指摘部分も確かに否めない。

特異な設定や世界観が魅力。と同時に、ありがちな把握しづらい点も。
専門用語もあり、時々こんがらがる。
強い都市が弱い都市を喰う。それが最大の見せ場の一つだが、描かれるのは冒頭くらい。
後はお決まりの反旗/革命の闘い。悪くはないが、もっとせっかくの都市対都市を見たかった。
飽きさせない展開ではあるが、やはりちと詰め込み過ぎ。

そして、多くの方が言っておられるように、何処かで見た事ある設定や展開やシーンがいっぱい。
思い浮かんだだけでも、宮崎の『ハウルの動く城』や『天空の城ラピュタ』、『進撃の巨人』もうっすら、移動巨大都市は『マクロス』を彷彿。…などなど。
英国人作家の小説が原作だが、日本アニメを意識して作られたみたい。
だからついつい、一本の映画として作るより、日本で1シーズンのアニメシリーズとして作った方が良かったかも…なんて。

ピーター・ジャクソンが製作・脚本。
彼を筆頭に、スタッフが再結集。
このチームで冒険ファンタジーと言うと、かの作品を思い浮かべる。
が、それを期待すると…。
つまらなくはない。かと言って、有無を言わせぬほど圧倒されるほどでも…。
ピージャクのキャリアもかの作品でピークだったのかなと思うと、ちと悲しい。

にしても…
“ロンドン”の暴走に立ち向かうは、“チャイナ”。
そのキーは、“USA”。
何か、何と言うか…。

近大