「良い物と足りない物と余分な物が多々アリでかなり惜しい!」移動都市 モータル・エンジン マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
良い物と足りない物と余分な物が多々アリでかなり惜しい!
でっかい都市が動く!と言うのは何処か中二病な感じがしても、「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンが製作していて、雲を切り裂く工場萌え的な無機質な造型美と主人公のヘスターのビジュアルにワクワクして、鑑賞しました。
で、感想はと言うと…惜しい!
面白いのに何か足りなくて、何か盛り込み過ぎ。
巨大都市ロンドンの進行を食い止め、母親の敵となる男の野望を打ち砕く!
大筋のストーリーにいろんな物を肉付けし過ぎてて、芯がブレてる感じ。
オープニングから巨大都市ロンドンが動くのは圧倒されます。
都市と言うよりも巨大な生物みたいで、他の移動都市を飲み込んでいく様は何処かそら恐ろしい。
それに対抗するヘスターがクールでカッコいい!
そして、古代アメリカの神としてミニオンズが出て来たのには笑いました♪
頭からいきなりハイテンションでぶちかまして良い感じで始まったのに…
本筋以外にいろんなのがてんこ盛り。
シュライクの件なんかもそうだし、アナと空賊団なんかもスターウォーズみたいになってる。
いろんな物を盛り込んで、広げ過ぎてる感じで中盤ぐらいから中弛みな感じがするし、特に中心となる移動都市ロンドンの魅力と出番が序盤以降は薄いんですよね。
量子エネルギー砲「メデューサ」が最終兵器になるのは分かるけど、もっと巨大移動都市ロンドンの迫力を全面に押し出しても良かったのではないかなと。
また、へスターがクールでカッコいいのに中盤から段々女の子の部分が出てきて、途中からアナに食われて、主人公はどっち?な感じ。
もう少しヘスターの出番と言うか活躍を盛り込んでも良かったのではないかなと。
また、結構説明無しのいきなりな事が多くて、なかなか付いていけない部分も多々あります。
あと、長い! エンドロールも長いなぁw
他の人も書かれている様にジブリと言うか、ジャパニメーションの影響はありあり。
ジブリで言えば、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「紅の豚」「ハウルの動く城」で、ジブリ以外なら「進撃の巨人」なんかの要素もちらほら。
空賊団とロンドンの戦いなんて、スターウォーズのエピソードⅣのクライマックスを連想します。他にもいろんな作品からの影響と日本のアニメーション作品の影響は多分にあるかと思います。
また、巨大な都市が動くと言うのは2006年に発表された「鋼殻のレギオス」と言うライトノベル作品が動く都市の話なので、似たり寄ったりの作品からの引用は言い出したりしたら切りがない訳で、ただ、それが悪いとかではなくて、いろんな作品に影響を受ける事やインスピレーション、インスパイアする事はクリエイターなら当たり前な話で、要はいかにその作品の良い所を活かしつつ、オリジナリティにブラッシュアップするかが大事なんですよね。
設定や世界観は結構好きで、押井守監督の「AVALON」に通じるカッコ良さがあります。
もう少し、全体的にスッキリとまとめきれてたら、良くなるのではないかと。
それでも、巨悪な移動都市ロンドンの迫力や世界観はかなりの見応えがあるし、ハマる人にはハマる設定にワクワクもするので気になった方は是非、重い腰を上げて鑑賞してみては如何でしょうか?
移動都市ロンドンの迫力だけでも一見の価値はあるかと思いますよ。