「無名の役者かつゾンビ映画…面白い要素なんてひとつも無いのに裏切られた」カメラを止めるな! かちかち映画速報さんの映画レビュー(感想・評価)
無名の役者かつゾンビ映画…面白い要素なんてひとつも無いのに裏切られた
無名の役者、邦画のゾンビ映画…面白い要素なんてひとつも無いのに良い意味で裏切られた。すみません、なめてました…めちゃ面白かったです!公開当時に劇場で見てからハマリ、定期的に何度か見返してる作品。面白かった点は2つある。
1つめは、前半と後半で二度楽しめる構成。
前半で完成品、後半で完成までの過程を描く。後半の前半ネタばらしパートでは、ハプニングの連続を一丸となってアドリブで乗り越えていく様が面白い。前半の不自然なセリフや間の違和感を「こんな方法で乗り越えてたの!?」と笑えた。趣味の話から護身術の「ポンッ!」流れは放送事故レベルw
メンバー全員で体張ってクレーンになるラストシーン。ぐだぐだだった読み合わせのときを思い出すと、よくこのメンバーで完成したなと感慨深い。
唯一の欠点は、前半パートが長くツカミが弱いこと。下手したらB級ゾンビ映画かと思って途中で帰っちゃう人いそう。友人の話では前半のスタッフロールが流れたときに、終わったと思って退室した人が居るらしいw前半パートに長尺つかったのはリスクあるし、監督の賭けだったと思うわ。ここを乗り切ったら面白くなるんだけどね。
2つめは、役者の先入観がなく純粋に演技を楽しめる。
知らない役者しか居ないのでどんな演技をするか想像できない。そのため、余計な先入観なしに演技がダイレクトに伝わってくる。主演の濱津隆之をはじめ、脇役の人たちもクセもの揃いでインパクトが強烈。
とくに印象的だったのは、濱津隆之と腹痛ハゲ。濱津さんの優しさがにじみ出てる演技が好き。自分のやりたいことをグッと堪えて他人に流されちゃう性格が自分と似てて共感できた。その反動か最初のシーンで思ってることを主演ふたりにぶちまけるのが最高に気持ちい。何があってもカメラを止めない姿勢からは映画愛を感じる。
すぐ腹痛くなるハゲは一番笑った。腹痛をこらえてるときの表情がリアル。うんこ漏らしそうなときってあんな表情になるんだよな~。トイレの場所や水を確認したり、実際に腹弱い人がしそうな行動を見事に再現してる。スタッフの中に彼と同じようなうんこマンが居たに違いない。
有名な役者が出てる大作でなくても、充分に楽しめるのだと教えてくれた良い作品だった。これからはつまらなそうという先入観に騙されず、この手の映画をどんどん発掘していきたい。