「映画にも企画物というジャンルがあるならそれの最高傑作」カメラを止めるな! 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
映画にも企画物というジャンルがあるならそれの最高傑作
映画館では2018年10月5日地元のイオンシネマで鑑賞
インディーズ作品だが異例の大ヒット
世界的な賞を獲得した邦画だと注目が集まり普段はあまり映画館に足を運ばない老若男女がやって来て満員になるがその日はそれに準ずる大盛況ぶりだった
およそ37分のワンカットホラーTVドラマの舞台裏を描いた作品
大学の映画研究会の方がもっとマシな作品が作れるはずだがその30分あまりの「作品」は生中継という設定がミソ
生だからこそ起きるドタバタを楽しむコメディー映画
ゾンビ専門のゾンビチャンネル開局記念に因んだ企画を引き受けることになった監督の悲喜交々
曲者揃いで打ち合わせから前途多難で放送直前にも関わらず大きなトラブルが起きるところがリアルで面白い
「作品」がB級どころかC級なのが良い
A級の舞台裏なら平凡なDVD特典じゃないか
当時は知らない映画監督に誰1人知らないキャスト陣
このての映画を口コミのみで映画館にて観るのは初めて
しかもあまりにも馬鹿馬鹿しくて苦手なジャンルでもあるホラー映画
それでもわりとホラー映画は観るんだけどね
口コミとかネット世論とかわりと見下していて自分はどちらかというと少数派だと自覚しているのであまり期待していなかったが逆にそれが良かった
低評価のレビュアーは常に多数派側だと思い込んでいて世間一般の高評価を信じて期待しすぎてしまった哀れな被害者なのかもしれない
そういう人に限ってなんでこんなに評価が高いのか理解できない!と怒り心頭で正直笑える
反面教師にしたい
比較的無名な俳優のみで撮影した作品だがこの内容だとそれがかえって良かった
メジャー系の他の作品で『カメラを止めるな』に出演していた役者が登場するとなんかとても嬉しい
「作品」のあと40分くらいで出演者の顔と名前がカッコよく紹介するサービスはありがたい
うざすぎるほど芝居づくりに熱い娘役の真魚が特に良かった
クレーン代わりの人間ピラミッドには感動すらした
エンドロールは本当の舞台裏?
こういう映画も楽しめる自分は幸せ者だ
これを全く楽しめない人がいるとしたら逆に何が楽しめるのか興味は出てくる
個人的には好きだが上田慎一郎監督の他の作品はわりとガラガラだった
やはり多くの映画ファンは有名な原作と有名監督と有名俳優で固めた豪華キャスト陣を結集した王道映画を好むのだろう