「このオチは想像つかなかった。見事に騙された。」カメラを止めるな! Theo5さんの映画レビュー(感想・評価)
このオチは想像つかなかった。見事に騙された。
何かがある映画という事を事前に知らなかったら、最初の5分ぐらいであまりにもチープすぎるので観るのをやめる映画だと思うが、この作品は事前情報をほんのりと知っていた為に最後まで観ようと思える、話題性が良い方向に働いた映画だった。
最初の30分間の作りもチープにチープでネタバレされる前から、いやいや伏線の置き方下手糞すぎてどういう仕掛けなのかバレバレじゃないかと観てる側が心配する程。
でもこれだけ話題になった映画なのだから、きっとこのバレバレの演出すら伏線できっと凄い事があるのだろうと思っていたら、最初のネタバラシが終わって、映像が鮮明になり、何てことない家族の話に内容が変わる。
そこから観ていて別段興味も湧かなかった最初の30分の映像がどうやって出来たのかみたいなメイキングシーンが始まり出して、いやいや一番興味がないもののメイキングシーンを見せられても何も面白いと思わないんだけど、本当に、本当にこれ大丈夫か?ここから面白くなる仕掛けなんて本当にあるのか?と最大の不安が。
台本読み合わせのシーンとか癖のありまくりの俳優陣のわがままだとか、赤ちゃんが泣きまくるシーンとかもう本当にどうでもよくて、何を見せられているんだろうと、ちっとも期待感が上がらないまま撮影の日に。
なんだろう、実は演技だと思ってやってたけど、本当のゾンビが侵入してましたみたいなオチなのかな?と思って期待せずに見ていたけど、最初のあの不自然だった30分間の裏側を垣間見れて、どんどんと起こるトラブルにてんやわんやしながらその場にいる全員で最適解を探していく工程が妙に面白くて、バラバラだった役者陣がどんどん心通わせていく感じも良いなと思わせる人情感があり、最後の人間ピラミッドのシーンではなんかちょっとしたカタルシスを感じるぐらいの達成感すら感じた。
どんでん返しだとか、見事な伏線回収で度肝を抜かせるような映画じゃなくて、短くて人を描く心理描写も浅いながらも、これだけコンパクトに人というものを大事にクッキリと描く映画なんだなと最後にネタバレされて、見事に騙されたと同時に、なんだ良い映画じゃんって思わせてくれる面白い作品でした。