「これは話題になるのも分かる」カメラを止めるな! といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
これは話題になるのも分かる
いやー、めちゃくちゃ面白かったです。
ほぼ前情報なしで見ました。ネタバレがご法度の作品だったこともあり、テレビでもネットでも視聴済みの方々がネタバレを避けてくれたおかげか、あれだけ話題になった作品にも関わらずネタバレ無しで観られたのは幸運でしたね。これは事前知識無しで観る事を強く強くオススメします。
【※注意・以下ネタバレ全開で話します。】
序盤の劇中劇、明言はしていないのに「これは劇中劇です」とハッキリ分かるような作りになっていて、これが映画後半への布石となっていますね。劇中劇だと理解した上で見ていると、色々な違和感に気付きます。不自然に長尺なシーンがあったり、台詞がしどろもどろになったり、カメラがやたらと揺れていたり。「ワンカットで撮影しているから仕方ない」と、そういう違和感も受け入れつつ見ていると、最後に「ワンカット・オブ・ザ・デッド」とタイトルとエンドロールが流れて劇中劇パートは終了します。
後半は時系列が一ヶ月前まで戻り、劇中劇「ワンカット・オブ・ザ・デッド」ができるまでの舞台裏が流れます。冴えない映像監督である日暮が「ワンカット生放送のゾンビ番組」という無理難題をテレビ局から提示され、断りきれずに承諾してしまいます。クセの強い出演者や家族に手を焼きながらも撮影本番。多くのトラブルに見舞われながらもワンカット生放送の撮影を行い、やっとのことで撮影を乗り切る様子が描かれます。このワンカット撮影の舞台裏を見せられることで劇中劇パートで感じた違和感や不自然さが「こういうことだったのか」と納得できてしまうというストーリー構成になっています。失敗が許されないワンカット撮影でここまで緻密に計算された撮影を行なえるというのは、製作スタッフの方々の技術の賜物でしょう。圧巻、天晴れです。
緻密な脚本・計算され尽くしたカメラワーク・俳優陣の「違和感ある演技」を演じる実力。
どれをとっても素晴らしかったです。
何故こんな素晴らしい映画を劇場で観なかったのか。今になって後悔しています。
でも、観れてよかった。面白かったです。