「斬新 でもそれ以上に、励まされる」カメラを止めるな! JIさんの映画レビュー(感想・評価)
斬新 でもそれ以上に、励まされる
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チームで物事をなす時の、リーダー(ディレクター)の情熱を描く。と同時に、物事はネガティブ・ポジティブ、偶然的・必然的に関わらず、それを取り巻く全ての環境要因が組体操のごとく懸命に積み重なってできたものであることを伝え、創作という行為を讃え、励ます。
創作と言ったが、人の人生も言ってみれば創作していくものかもしれない。達成したい夢はあっても、枷となる外的要因、自分自身の力足らずなところなど、思うように行かないことが出てくるのは誰もが経験していることだろう。そんな苦い思い出は、映画の中の監督を観て、観客も自分の経験と照らして共感し、半分自虐的にも笑わせられる。だが、笑い話にしかならない間抜けな経験ばかりでも、それでも不運を味方につけて、止めずにやり抜いたなら、ささやかな夢が叶うかもしれない。この映画では、そんなエールをもらえる。
確かに、劇中劇を用いた二重のメタ構造はシンプルに面白い。だが、それに加えて、誰もが作中の監督に共感し、自分ごととして見れるからこそ、この映画はこんなにも人気を得ているのだと思う。
構造はメッセージを伝えるための必然的な手段であって、監督役役の男はこの構造を活かして我々観客を指差し、「カメラは止めない」と叫ぶ。劇場での満場の笑いが無ければ、私は涙を抑えられなかっただろう。
(…まあ 実際私がチームで活動するとき私自身は、この映画でいうとダメな俳優サイドの人間なんですが…)
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