劇場公開日 2018年10月26日

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「会いに行きたくても会えないつらさ」あいあい傘 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0会いに行きたくても会えないつらさ

2018年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

静の談春と原田知世にたいして、動のテキヤの面々。
騒々しさにちょっと冷めるし、やべきょうすけのしつこさにハズレか?と心配になる序盤。しかしそれが功を奏するのか、寅さん的な彼らの世話焼きと人の好さが、どんどん物語にハマっていく。出てくる役者が的を得ていて、白眉はトミーズ雅だ。こういう関西人いる!と思わせといてピキッと要を占める役目を果たしてきた。
六郎演じる談春の演技はどこかテンポが合わないように感じるのだが、それ(計算なのかも?)がかえって彼がこの町にいる理由の憂いにも通じるようで、キャスティングの見事さだろうと思えた。
原田知世の演じるおかみさんの心遣いの見事さもよし。倉科カナ演じる娘さつきの戸惑いといら立ちもよし。六郎とさつきの再会の場面の描き方は、過ぎることなく、不足することなく、二人の抑えきれない感情がじゅうぶんに伝わってくるシーンであった。泣けた。

栗太郎