劇場公開日 2019年1月25日

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「身分も人種も越えた二人の信頼関係」ヴィクトリア女王 最期の秘密 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0身分も人種も越えた二人の信頼関係

2019年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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「女王陛下のお気に入り」「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」と、英国女王(とその周辺の人物)を題材にした映画の日本公開が相次ぐが、その先陣を切る本作は比べると若干の小粒感は否めないものの、ジュディ・デンチと従僕アブドゥル役アリ・ファザルによる入魂の演技とスティーブン・フリアーズ監督の的確な演出が味わい深い好作だ。

アブドゥルの視点で女王の表情、そして目を直視するカメラは、デンチの顔の皺を容赦なくとらえるが、少女のように無垢な眼差しの効用だろうか、無数の皺さえも時を刻んだ年輪のように美しく見える。

諦念と自暴自棄の序盤から、アブドゥルと出会い好奇心を刺激され、ヴィクトリアが生きる喜びを取り戻していく過程が共感を誘う。王族や周辺の人々のどろどろした権力争いを描く映画も面白いが、本作は女王の人間性に迫った愛すべき一本だ。

高森 郁哉