「10億の民を抱えていた女帝の孤独と最後の愛」ヴィクトリア女王 最期の秘密 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
10億の民を抱えていた女帝の孤独と最後の愛
1997年公開の「Queen Victoria 至上の恋」(原題:Mrs Brown)は、夫君アルバート公の没後、喪服時代の話。物語のプロットは、この「最後の秘密」と酷似しています。インド人侍従のアブドゥルが、「至上の恋」のジョン・ブラウンに取って代わっただけ。20年の時間を経てヴィクトリアを演じるのは再びジュディ・デンチ。ここまで来たら、デジャヴ懸念も有りましたが、全くの別物でした。
女王ヴィクトリアは政治にも積極的に介入していたイメージが有りましたが、劇中ではドゥールー排除(南ア)を知らないなど、隠居状態になっている事が示唆されています。
「世界中の人が私を憎んでいる」。当時の彼女の立場を象徴するセリフです。王室の中での孤独感からムスリムのインド人を寵愛するに至るまでの過程は、英国喜劇のタッチで描かれていて楽しかった。そこから少し中弛み。ラストはシンミリ泣かしてくれますし、ヴィクトリアの崩御後、王室を追い出される件は哀しい。
絢爛豪華な佳作ですが、ヴィクトリアがドイツ出自である事や、当時の大英帝国の植民地拡大の歴史などは知っていた方が良いです。夫君の死後のジョン・ブラウンの事は必須と思います。
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