「戦いの終わらない星」アバター ウェイ・オブ・ウォーター Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
戦いの終わらない星
2009年の第1作は観ていますが、マイルズ・クオリッチが地球人スパイダーと父子関係にあることは知らなかったです(見落としていたのかも知れません)。アバターの物語はまだまだ続くようですが、戦いの終盤、スパイダーがクオリッチの命を救いながらも、顔を背けるように離れていったことは、これからのストーリーを良い意味で混迷させてくれるのではないかと思いました。
◉安住の地のはずが、戦いの砦となる
パンドラには戦が詰まっていた。その原因を作ったのは、スカイピープルの資源などを求めての進出であり、今回の作品では更に新天地を求めての侵略ではあるけれど、オマティカヤ族もメトカイヤ族も、問題解決の手段として戦争を選ぶのにあまりためらいがない。
予告編でサリーは「ここが私たちの砦だ」と呟く。パンドラはナヴィたちの限りなく美しい、安寧の地だったはずだ。
こうした道筋はごく自然、でも壮大な物語と言う視点から見れば、ごく普通とも思えてしまいました。
今作では海と空と地の間に戦闘シーンが溢れて、終幕は横転した船が舞台となる。少しずつ兵士の命が削られながら戦いが続く。緊迫感は十二分。
兵士もナヴィも捕鯨船の乗組員も、戦闘能力には長けていて、特にネイティリの弓矢の巧みさは抜きん出ていた。殺意が生々しい。
◉魚舟 獣舟
人とナヴィと世界樹と海洋生物が溶け合うパンドラの世界観は、観る者として、それなりに身を預けてもいいかなと感じるものでした。特にメトカイナ族が鯨のようなトゥルクンと血縁を一つにするのは、上田早夕里さんの『魚舟 獣舟』(2006)さながらでした。
『魚舟 獣舟』では、女性は妊娠すると、ヒト型と魚型の双子を産む。ヒトは陸上で、魚は海でヒトの乗る舟として暮らすが、その絆は極めて固い。しかし何かの原因で絆を結べなかった魚は、荒れ狂う獣舟となってしまうと言うものでした。生物の「生」の在り方として、非常に特異で、逆に枷にもなり得る絆。
海のナヴィたちもトゥルクンとの繋がりを始め、切れない「絆」によって生きていると言う設定でしたが、家族を護る父と母は、またスパイダーの父であるクオリッチに対して容赦がない父と母でもあった訳です。息子たちも優れた戦士になるのが生涯の夢になっていたし、追い詰められた状況で、元来持っていた戦闘民族の因子が開花してしまったような展開?
まぁ、この物語は今、目の前にはかけらもない平和を願ってもがく話です。悩みつつ成長していく子たちの姿は描かれていたので、スカイピープルとの平和的解決の模索や挫折とかは、これからのストーリーで描かれるのかも知れません。
単体の作品としては、非常に深度の高い映像美の中で、とにかく小気味良い戦闘の応酬を愉しめばそれでいいのだとも感じました。
超自然な力に気づいていくキリが、めっちゃ少女らしくて愛らしかったです。戦いに際しては、一番壊れそうで最後まで壊れない、最終兵器にも見えてしまいました。
コメントありがとうございます。
私もマイルズ大佐とスパイダーの父子関係・・・アバター1では、
まったく記憶にないです。
名称(オマティカヤとか、メトカイヤとか・・・)
まったく覚えきれず、映像をみることに終始してしまいました。
ストーリーがもう少し面白くてもいいですよね。
Uさん、コメントありがとうございます。3作目は2025年末公開らしいですね。撮影は2作目と同時期に終了しているみたいですので、ポストプロダクションで3年もかかるというのは長いですよね。5作目が終わるのは2031年らしいのですが予定通りいけばいいのですが
Uさん、コメントありがとうございます。
私がキャラクターを区別できなかったせいでもありますが、もう少し演者の特性を出してくれても良いのでは…と、思いました。
Uさん、共感&コメントありがとうございます。
本作の圧倒的な映像美は、本当にすばらしかったですね。しかし、シリーズものとしては、これ以上の映像で観客を驚かせるのは難しいでしょうから、次作ではストーリー的なおもしろみも加えてほしいところです。その点では、おっしゃる通りスパイダーとクオリッチが起爆剤となりそうですね。