「比類なき映像体験」アバター ウェイ・オブ・ウォーター ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)
比類なき映像体験
前作に引き続き「IMAXレーザー3D」での鑑賞。
このシリーズについては、
それだけの入場料を払う価値があるとの認識。
「3D」は「IMAX」で観るのがベストと勝手に思っている。
幾つか他の劇場にも足を運びはしたものの、
どうにも輝度が足りず薄暗い。
その点、この方式は明るさの面でも素晴らしい。
さて本編。
過去から繰り返されて来た侵略とレジスタンスの歴史を
時代と場所を置き換えただけの展開で
物語り的には極めてありきたり。
そして『ジェームズ・キャメロン』が監督する全ての作品を貫く「愛情の発露」
(デビュー作〔殺人魚フライングキラー(1981年)〕は微妙)も変わらず。
大団円への犠牲は払われてしまうにしろ、
ある意味、お約束の展開。
とは言え、この監督、
実はアメリカをさほど好いてはいないんじゃ?と
思わせるシーンやエピソードが随所に。
「パンドラ」に侵攻する「スカイ・ピープル」の「海兵隊」は
{西部劇}で先住民に襲い掛かる「騎兵隊」そのもの。
それに相対する「メトカイナ族」の反応にしても同様。
また、太平洋に犇めいていた鯨を
鯨油を採るためだけに激減させたのも
やはり同国だろう。
三時間を超える長尺のため、中途
トイレに向かう人も常よりも多数。
度毎に画面が遮られてしまうのは
どうにも嬉しくない。
制作サイドは、この辺りのこと、
何も慮っていないのだろうか。
なんとなれば、映像の美しさは間違いないものの、
全体が冗長で、そこまでしつこく流す必要があるのかと首を傾げ、
次第に異星の環境映像を見せられている気にもなってしまう。
一方でそれらを構成するクリーチャーの造形は素晴らしく、
既視感はありつつも、どこかしらプラスアルファはされており、
銀河の何処かに在る実在の星で
そこの民族を使い、動物もハンドリングして撮ったのではないかと感じるほどのリアルさ。
とりわけ水中でのシーンは、過去の映画作品に比しても
カメラの動きといい、アングルといい、水の質感といい、
群を抜いた出来。
あくまでも「映像体験」や「没入感」を求めているで、
ストーリーは二の次三の次で良いのかも。
最新の技術を貪欲に吸収し、
それを適切にアウトプットする監督の姿勢には
変わらず感嘆。
この作品のシリーズ化は勿論歓迎も
〔ターミネーター:ニュー・フェイト(2019年)〕のように、
世情を読み違えないようにはして頂きたい。