「ド派手に散るか」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
ド派手に散るか
ダニエル・クレイグの007最終作という触れ込みで、予告編の映像も、ラミ・マレックの不気味な存在感も最高潮に盛り上がり、「これは見に行かなければ」という期待が最高潮に達したときにコロナ禍で延期に次ぐ延期。いつの間にか劇場公開も終わっていて、ようやくWOWOWで見ることが出来ました。
俳優たちの抑制された演技と、迫力たっぷりのアクション。らしさ全開で、出来ばえとしては満足なのですが、これで最後なのだと思うと、もう少しなんとかできなかったのかと思わずにはいられません。
スパイが引退して、プライベートを満喫できるはずもない。
容赦なく襲いかかる敵に毅然とした優雅さで対抗してきたダニエル版007。最後にふさわしい、世界規模の危機が、どちらかというと私怨にとらわれた目的の悪役に苦しめられ、自分の命と引き換えに愛する人を守り抜くという、さんざん語りつくされてきた感のあるストーリーは、果たして007としての物語にふさわしいと言えるのでしょうか。
時期的には、ロシアのウクライナ侵攻や、パンデミックなど、現実の災厄がひどすぎて、ひとりの諜報員が活躍する余地など、今の世界には無いのかもしれないとさえ思います。
それでも真偽の定かでない情報がニュースに流れるたびに、MI6とかCIAとかの名前が出るので、どこかで暗躍するスパイの存在を意識させられます。それとは別世界の、冒険ヒーロー活劇として、ダニエル版007は、私を楽しませてくれました。
2022.7.26