劇場公開日 2023年11月17日

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「愛と絆に満ちたボンド」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0愛と絆に満ちたボンド

2021年10月24日
PCから投稿

賛否分かれるようだが、私は圧倒的に賛だった。ブロスナン時代には全く興味関心を持てなかった自分を、クレイグ演じるボンドは初めて感情移入させてくれたし、心身の傷口をあらわにして走り続ける姿は本作でさらに加速を遂げていた。歴史と伝統が長く存続するにはそれなりの「時代と共に変わり続ける」姿勢と覚悟が必要だが、ある種の超人でもあり一人の脆い人間でもあるこのキャラを、荒療治とも言える展開の果て、とことん描き尽くしたところに誠意を感じる。「スペクター」に加えてもう一筆描くのであれば、やはりここまで行かなくては。一方、冒頭からダイナミックなカメラワーク、カラッと乾いた空気感に感情の粒を浮き上がらせるフクヤマ監督の演出も見応えがあった。数々の計り知れない困難を乗り越えて公開までたどり着いた本作。仲間との愛と絆が際立つボンドの姿は、自らを”家族”と称するスタッフ、キャストのあり方そのものだったのかもしれない。

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牛津厚信