「もうパクりの詰め合わせにしか思えなくなる」悪女 AKUJO つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
もうパクりの詰め合わせにしか思えなくなる
冒頭、一人称視点でのワンカット風長回しのアクションシーン、本作の見せ場の1つだろうが、驚きを持って見ることはできなかった。
スゲェ!とか、おお!とかいう感情が湧いてこず、ただ、カメラが近すぎて見辛い、アクションに自信がないのが見てとれる、酷くチープなものを見せられている気持ちになった。
その後も、一人称視点は冒頭だけだが、アクションシーンのほとんどはワンカット風の長回しで、頑張っているのはわかるんだけど、どうにも気持ちが乗ってこない。
ストーリーもなかなか凝っていて、過去回想を用いて時間を前後させたり、終盤には二転三転するなど、工夫を一杯詰め込んで、頑張っているのは伝わるが、逆に詰め込みすぎで分かりにくく、高揚感がない。
もう少しスッキリさせてもいいのではないかと考えてしまう。
不満は多かったが徐々に面白く思えるようになった終盤で、これまた見せ場の1つだろうスナイプシーンがきた。強烈に「ニキータ」が頭をよぎった。
もちろん全く同じではないけれど、リスペクトとかオマージュとか、ましてやパロディでもなく、これはもうただのパクりだろ。あまりのことにドン引きした。
「ニキータ」よりも良いものが撮れたならまだいいが、哀愁も深みもない、形だけを真似た劣化シーンで、本家の「ニキータ」だってそれほど面白いわけでもないのにそれの劣化版では評価のしようがない。
他のレビューの中に「ニキータ」の単語が踊っているのが見えた。
監督が「ニキータ」好きらしいが、パクりを指摘されて慌てて好きだと言ったようにすら思える。
見せ場の1つがもろパクりではなかったら、頑張りを認めて星4つでもよかったんだけどね。
渋川清彦似のおじさんのナイフ持ち替えシーンはカッコよかったから。