「家族を守り抜く」シリアにて ku-chanさんの映画レビュー(感想・評価)
家族を守り抜く
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『スナイパーだ』で始まり、野菜か何かを手押し車で売る男性や客が逃げるシーンから始まる。シリアのダマスカスのMESSEHメザという地区で義理の父と子供三人と近所の家族などを夫が帰ってくるまで守り抜く力強い女性OUM(Hiam Abbath)の話。
Oum は生まれた時、家がなかったと。この住まいに対する愛着がとてもつよく、伴侶が帰ってくるまで家族と共に守り抜こうとしている。家政婦にも子供にも知り合い(?)の息子にも内戦のなかで的確な指示を与え、皆を守っている。しかし、一箇所これでいいのかと思ったシーンがあったが、一階上に住んでいた女性ハリマ(ハリマは夫と共にベイルートに逃げる計画があった。)がレイプされるシーンがあるが、Oumは子供達、家政婦、義理の父などを台所に入れて守り、ハリマを助けに行かなかった。でも、残酷な言い方だが、ハリマの一人を犠牲にすることにより、家族を含めて他の人々を助けることができると考えていたと思う。
この映画で私にとっての圧巻は主人公Oumの二番目の娘である少女が、レイプをされた女性ハリマに謝るシーン。『許してください。怖くて助けに行けなかったんですと。』誰も助けてくれなかったが、レイプをされた女性ハリマはこの言葉によって救われたと思う。
Oumの判断力、自分も家族を守るのが大変なだよと言って泣き言を言わず、一人の時だけ、悲しさを見せるたくましい人で、またハリマに対する慈しみもみせている。でも、家政婦の気持ちを汲んであげていなかったのが残念だが、私はシリアの文化社会構造については詳しくない。どこかに家政婦の気持ちも大切にしているシーンがあったのかも。
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