「【”ニックったらひどいんです・・。でも、良く考えたらあたしも同じことをしていたんです・・。それで、あたしが奪ったニックの奥さんと一緒に住むことになって・・。”】」ニューヨーク 最高の訳あり物件 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ニックったらひどいんです・・。でも、良く考えたらあたしも同じことをしていたんです・・。それで、あたしが奪ったニックの奥さんと一緒に住むことになって・・。”】
ーなどと、”宇野鴻一郎”後期作品のようなタイトルをつけてしまうほど、クズ男ニックに入れあげているファッション・デザイナーとして名を上げようとしてるジェイドと、ニックの関係性に共感し難かった作品。-
<簡単な粗筋>
ある日、ジェイドはニックから21歳の若いファッションモデルと同居するからと、一方的に離婚を告げられる。
ニックは夫であるとともに、ジェイドが立ち上げたデザイン事務所のスポンサーでもある。
動揺するジェイドの高級アパートメントに、突然ニックの元妻のマリアがベルリンから訪れ、部屋の所有権の半分は自分のものであると宣言し、同居を始める。
ーそもそも、マリアの家庭を壊し、ニックを奪ったのは、ジェイドなんだよなあ・・。-
価値観も違う二人は(共同スペースの装飾品の絵画をめぐる遣り取りで分かる。)対立しながらも、不可思議な同居生活を始める。
マリアは文学の素養があるが、ベルリンで自らの夢を諦め、子供を立派に育て上げていた。
その子供の一人、アントニアがある日、ヤンチャな息子パウルを連れ、二人のアパートメントにやってくる。
自らのファッションデザイン事務所を存続させたいジェイドと”家を守りたい”マリアの攻防が始まるが・・。
ーマリアに後ろめたい気持ちを持つジェイドが彼女に強い態度に出れない気持ちと、マリアの娘アントニアのオーガニック系調香師としての力量とセンスにジェイドが気付き、自らのデザイン事務所に勧誘し、ある”パーフューム”を開発する過程は面白い。-
ーしかしながら、登場人物の気持ちの移ろいが上手く描かれていないため、時折ストーリー展開に戸惑ってしまうところが、実に勿体ない。-
<イロイロとストーリー展開の瑕疵が気になる作品であるが、良く見ると女性たちの意思の強さ、自らの夢を叶えるために妥協点を見出し、”美の追求””加齢への対応の仕方””子育てとキャリアの両立”を追求し、逞しく生きる術を学ばせていただいた作品である。
それにしても、ニックの所業にジェイドもマリアもアントニアも寛大過ぎるのではないかと思った作品でもある。>