「息吹か穀物か・・・」グレイン いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
息吹か穀物か・・・
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第30回東京国際映画祭でEXシアターにて上映
今作品程、ティーチインで監督に質問したいと願った作品であったが、後髪引かれる想いで劇場を後にした作品だ。
それ程、かなり哲学的、宗教的で難解な作品であった。映像自体は全編モノクローム仕立てになっているので余計な色がない分、輪郭が際立ってみえる。
前半はSF、そして後半はファンタジーのシークエンスが繰広げらていく構成。
イメージングも、前半は古典的SFチックなシンメトリックな背景が拡がり、打って変わって広大だが、どこか奇妙で異様な自然のロケーションで、ロールプレイングのような旅に出る。それは丸でスターウォーズ、インディジョーンズにデジャヴを感じてしまったのは気のせいだろうか?
アヴァンタイトルでの『壁』を横切ろうとした子供が丸焼けにされてしまうシーンや円盤型偵察機等々のSFXもさりげなくカットに挿入されているところにセンスの良さが伺える。
後半の外側の世界で逢った男は、果たして実在していたのか、それとも幻なのだろうか。男があちこちに置いていった種の一粒一粒を蟻が運んでいく、それとシンクロするように、隠された肥沃な土を一袋毎運ぶ自分との対比。狼、壁の向こうのパラレルワールド、そして、表題の意味。今作品も又、一度観ただけでは理解不能な、心の大事な琴線を揺さぶる作品なのである。
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