「年齢の限界を超える姿はやっぱり感動する」負け犬の美学 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
年齢の限界を超える姿はやっぱり感動する
40代になってもボクサーを続ける中年男性。全盛期はとうにすぎ、負けが込んでいて、家族を養うために欧州チャンピオンのスパーリング相手に立候補する。本作の原題は「Sparring」で、スパーリングパートナーというものが、いかに過酷かでつらいものかが、物語の上で重要になる。
スパーリングパートナーは、ようするに練習台なわけで、チャンピオンにボコボコにされるのが仕事みたいなとこがある。元々体力的にもボクサーとしてやっていくには限界を超えている年齢の主人公は、ヨーロッパチャンピオンの練習台にも満足になれない。そもそも超格上の相手とリングに上がるのは、それだけで大変なこと。しかし愛する家族のために、彼はボロ雑巾にならねばならない。
この主人公を演じるのはフランスを代表する俳優の1人、マチュー・カソヴィッツ。あの端正な顔立ちの彼はここまで痛々しくみじめな姿をリアルに演じられるとは。よくある話といえばよくある話ではあるけど、やはり年齢を超えて頑張る姿というのは感動する。
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