愛と法のレビュー・感想・評価
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愛のない者には残酷な映画
理不尽の多い世の中
自分も差別者なのか
おそらく、ゲイというだけなら、
私はこの二人に注目もしなかった。
弁護士という立場、役割にある者として
ゲイを語るから、私は興味を持った。
既に、そこに、職業的な差別などが、
自分の中にもあるということか。
しかし、じゃあ、
それをなくせるもんなのか。
そもそも。
ゲイへの差別、嫌悪感は、特にない。
(と思ってる)
勝手にやってれば、という感覚。
興味がない。それは罪?
ただ、夫婦別姓もそうだけど、
制度により、ゲイの方が、何か、
ペナルティを受けてるということだと
それは問題だ、と思う。
自分の中に義憤のようなものが生じる。
興味が、出てくる。
だから、「ゲイの弁護士」という、
その社会的な文脈から、
私は興味を持ち得たのだと、
今更ながら、認識した。
そういう意味で、この二人の弁護士の
今後のあり方、二人から発せられる
メッセージというものは、
すごく重要なのだと思う。
僕と同じように、反応する人も、たくさん、
いるはずだから。
ちなみに、
ろくでなし子さんを、逮捕するような
そういう国って、なんか違う気がする。
ろくでなし子さん見てて、
あの方の人格や、作品見てて、
わいせつ罪で、マジで、ガチで逮捕するって、
ヤバい国だと思いませんか?
皆さん、どう思われましたか?
(共産圏の秘密警察みたいな、
なんか、ゾッとするものを、私は感じた)
法治国家って、
そんなものかなぁ?
そういうことだったのかなぁ?
法律をつくるのが政治家だと、
仮にそれが本当だとして。
その政治家を選んでる僕らが、
そこに何か突っ込んでかないと、
こういう逮捕がこれからも、普通に、
実際されちゃうってこと?
でも、投票のとき、
そんなことまで考えて投票してる?
なんだか、皮膚感覚的なものと、政治、
法律や警察のあり方、といったものが、
一つの体系というか、
一体のものとして、リンクしてない感じが。
じゃあ、自分はどうしたら、
みたいな話になると、
言論の自由みたいな、
なんかまた、崇高な理念的なものに
コミットする、そんな活動を
やらないといけないのか?
なんかもっと、別の方法というか、
そういう選択肢がないと、
マジョリティを味方に、
本来の世論を現実の社会に反映することが
できないようにも思ったんですけども。
どうでしょうかね。
(そう考える自分は、甘ちゃんなのかな)
愛しか感じられない
2人だからこそ
VIVA
この作品を鑑賞するまで、私はフミとカズという弁護士がいる事を知りませんでした。そしてフミとカズという弁護士を知らないばかりか、社会で起きている裁判がどういう理由で、何の目的で行われているかを詳しく知りませんでした。恐らくこの作品を鑑賞しなければ、考えもしなかったことです。そして作品で取り上げられたいくつかの裁判に対して、私自身にいくつかの知りたい事が出てきました。
・どうして戸籍を持てない人がいるのだろうか?
・どうしてろくでなし子さんは、わいせつ物陳列罪の疑いで逮捕され、裁判をしているのだろうか?
・どうして君が代斉唱の時に起立しない先生がいるのだろうか?そしてその先生は、何故減給処分とされたのだろうか?
私の知りたい事は劇中で丁寧に丁寧に説明されることになります。
明治民法を受け継いだままの民法772条により、無戸籍のままの人がいること。日常の生活をしているだけでも電車やコンビニにわいせつ物がある気がするけど、ろくでなし子さんのアートは駄目なのか?ろくでなし子さんの言う通り、女性器に対して社会がわいせつなモノとレッテルを貼っているけど、わいせつな目で見ているのは誰なんだ?憲法で思想、良心の自由が保障されているのだから、国歌って歌わなくても良いんじゃないかな?
そして私は何度も繰り返し繰り返し行われる丁寧な説明がいわゆる「裁判」であり「法律」である事に気づかされたのです。カズの母親であるヤエさんが、「だって知らないもの。誰も教えてくれないもの。」と息子が同性愛と知った時の話をしていましたが、世の中知らない事だらけです。知らない事を知る事は人との違いを知るいいきっかけになります。他者との違いを知るひとつのツールが法であって、他者との違いを理解することが愛なのですね。
「どうして日本では、少し違うだけでここまで追い込まれるのか?」戸田監督は海外の上映祭でいつも聞かれることをパンフレットに記していました。他者との違いを知り、その違いを分かち合えた時に日本は「少し違うだけで追い込まれる社会」と海外から言われなくなるのではないでしょうか。それは、私達日本人にとっても、凄く幸せなことではないでしょうか。
カズ、フミ、カズマ、ヤエさん、ろくでなし子さん、ろくでなし子さんのお父さん、その他の出演した方々。そしてこんなに愛に溢れる不揃いな個性派人間を全く飽きさせもせず問題提議しながら作品にしてくれた監督。素晴らしい作品を今のこの日本で鑑賞できた事に心から感謝すると同時に、皆様の熱い愛情を広く世の中に伝えたくなりました。VIVA!
全ての少数派に捧ぐ!
LGBTの弁護士カップルと言えば観客の食いつきが良いから
ちょっと大げさに宣伝に使われてるけど実際は、
少数派で法律的に保護されていない人々の不利益を紹介して、
少数派であることで普通の社会生活を送れない人々、
そう、ごく普通に社会生活を送れない人々が
優遇してくれ!とか
特別扱いしてくれ!とかそんな事は一言も言って無い!!
多数派と同じように普通に自由に生きたいだけ!
そう言ってる人々の声が伝わってくる映画です。
理不尽な世界に対して腹が立つし
法律家で有りながら力不足で
理不尽を解決できない自分を責める主人公。
観ているこちらの方が気の毒で申し訳ないです。
で、月に8回ほど映画館に出かける中途半端な映画好きとしては
少々編集が雑かな〜〜と思う部分もあるんだけど
今の時代の潮流である「血縁ではなく、心の繋がりでの家族」
という部分が「万引き家族」より、
ドキュメンタリーだからずっとずっとリアル!
「血縁ではなく、心の繋がりでの家族」
新しい生き方だと思う。
この映画を観て、弁護士といえば雲の上の人と思ってたけど、
南和行弁護士と吉田昌史弁護士の存在を知って
ちょっとだけ生きる勇気が湧きました。
この二人なら私が困った時、話を聞いてくれるかも〜〜
私より随分若いから私がおばあさんになっても元気だろうし。
少数派になってしまって法律的に困った時に
話を聞いてくれる人がいる!
それだけでありがたい〜〜 (涙)
@もう一度観るなら?「BS放送とかでじっくりと観たい」
ろくでなし子の父親
視野が広がります。
自分自身に差別的な視点があることにも気付かされました。
同性愛者には寛容であっても、違う分野のマイノリティには不快感を感じてしまったからです。
ろくでなし子さんの主張は、全く理解できませんでした。
だからと言って突き放しはしません。
だけど、近づこうとも思えませんでした。
そんな私には、ろくでなし子さんの父親の存在が胸に刺さりました。
そうなんだよな、一人でもいいから受け容れてくれる人がいたらいいんだよな。
それがいちばん近い家族という存在だったら、もう何も怖いものはないだろうなと思いました。
劇中の言葉「家族は『支える』ってよりも『受け容れる』ってことの方が大事だと思うんです。」に強く共感しました。
知らないことを知ることができる、とても大切な映画です。
ラストのテロップにはただただ驚き、日本も遂にそこまで来たかと思いました。
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