「ワンキス」最初で最後のキス masayo3taさんの映画レビュー(感想・評価)
ワンキス
社会の縮図、学校。抑圧と差別がまかり通る。
本人達は何も悪くないのに学校のはみ出し者になっていた三人が友達になり、時には行き過ぎながらも弾けるように笑いあって日々を過ごす。その映像がすごくいい。
しかし些細なことから三人の関係が少しおかしくなる。でもそんなの大丈夫だろうと、大人は、わたしはそう思いながらみていた。
でも、
無神経にロレンツォをけしかける愛に無知なブルー、アントニオに告白するロレンツォ、冷たく拒絶するアントニオ、謝りに来たアントニオにキスをするロレンツォ、そしてそのキスに激しく答えてしまったアントニオ
自分もLGBTなのではないか、そんな不安を抱き始めたアントニオは‥‥
若さの持つ一瞬の無神経、残酷、不安。一つのキスが眩しい三人の日々をあっけなく消し去ってしまった。
切ない。
もしもブルーがけしかけなかったら?もしもアントニオに「いつか僕が男を好きになることがあったら真っ先に君の元へいくよ」といえる余裕と知性があったら?そしてもしも門番が遅刻したアントニオを学校にいれなかったら?
一つ一つは些細なこと。でもそれが衝撃的な結果をもたらした。逆に些細なことがギリギリのところで流れを押しとどめることもある。人の世って、特に青春時代はそういうものなのかもしれない。
映画は家族愛の強いイタリアらしくそれぞれの親が真剣に三人と向き合っていた。でも辛い結末になったことに、いまは親である私はいたく傷つきました。
テンポの良い映画であっという間の二時間でした。
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