スリー・ビルボードのレビュー・感想・評価
全501件中、361~380件目を表示
2017年のラグビーボール
シナリオはラグビーボールのようにはねていて飽きさせない。
登場人物は、一癖あって練られている。
観ていて、感情的には寅さんに近いものがあった。
音楽は、風景と心情と、そのどちらにもいい感じに効いている。
観たあと、良識と信念について考えさせられて、心に残る映画だと思う。
ストーリーについて、
ただの広告看板で、何人もの人生が大きく変わり、話が大きく意外な方向に転がっていく。
シナリオを描くとき、最初と最後はある程度決まってる事が多いと思うが、この映画はどうだったのだろう。
書いていてキャラが勝手に動き出したとしても、バッドエンドがハッピーエンドに変わるような変更はあっても、出来事そのものが完全に変わるという事は少ない気がする。そういう意味で、この映画どうやって書いたんだろう?
どんでん返しでも無いし。
まるで、北海道から沖縄を目指したトラック運転手が途中で飛行機のパイロットになって北朝鮮に行ってしまうくらい違う事してる。それでも、そんなに違和感なく観れる。(火事のシーンは流石に違和感あったけど)それは、登場人物たちに信念があるから、強引に共感させられているのかもしれない。兎に角、新しい映画体験が出来た。マーティン・マクドナーさんがどうやってこの話を作ったのか知りたい。
内容についての感想は、
主人公は、信念を持っていたが、信念を持たない人には一向に理解されず、実際に非合理的な行動を起こし、自分を追い詰めていく。
ただ、彼女の自傷行為のような行動は、根底は全て他人の為ということ。分かり合えたのは敵であり、死を覚悟していた署長。それと、最後にもう一人だけ。
ラスト、悲しみと罪の意識を抱えた2人の魂の邂逅が、希望を生んだところは感動した。あの瞬間は、出会いこそが生きる喜びだと知らしめてくれた。
道々決めようと車を走らせる2人の姿は逃避行でもあり、生きる希望への旅路でもあるように思えた。
出来事の整理
通る人の少ない田舎道の立看板。
その立看板に、警察署長へのメッセージを出した。
メッセージは彼女の娘がレイプされ焼死体で発見されたが犯人が見つかっていないのに警察は黒人をいじめてばかりではないですか?というもの。
憤慨する警察官たち。
警察署長は人望があり、彼女は、医者や牧師など、権力者から目の敵とされる様になる。
彼女の同僚が警察に捕まったり、歯医者で不当な扱いを受けたりする。
さらに悪い事に、警察署長は末期ガンであり、家族を苦しませない為に自殺してしまう。
その事で、町中を敵にまわす主人公。脅迫や、嫌がらせが日常になる。
同じく、署長を信奉していた差別主義者の警官が、広告屋を半殺しにする。
差別主義者の警官はクビになる。
そうしているうちに、看板が燃やされてしまう。
彼女は差別主義者の警官が犯人と思い、復讐と称して、夜中に警察署に火炎瓶を投げ込む。
タイミング悪く、差別主義者の警官が署長からの手紙を読みに警察署にいたが、彼はイヤホンをしていて火事に気づかない。
彼は、署長の手紙により正義に目覚めていた。
だが、正義に目覚め、気付いた時には火の海であり全身に大火傷を負う。
しかし正義になった元警官は、火事の中レイプ事件の資料だけは守る。
その瞬間を見て悲しむ主人公。それでも強い信念からか犯行は否定する。
正義の元警官は入院するが、同室に半殺しにした広告屋がいて、しかも彼に優しくされる事でさらに正義化し、過去を悔いる。彼は退院後、飲み屋でレイプした後火をつける事がやめられないと自慢する男に出会う。正義と過去の罪の意識により、自らを犠牲にしてDNAを採取し、警察に渡す。
また、主人公に犯人を見つけたと連絡する。
しかし、人違いだった。
だが、レイプ犯である事は間違いないと考えた男は、主人公を誘ってその男に会いに行く。
主人公も同意する。
二人とも、辛かったんだろう。
レイプ犯を殺しに行く途中、主人公は放火したのは自分だと告げる。
元警官は、あんた以外に誰がいると笑う。
そして、レイプ犯を殺したいかと聞かれ、お互いにあんまりと答える。
道道決めようと車を走らせる姿は逃避行でもあり、生きる希望への旅路のようにもみえた。
登場する誰もが、いい、悪い、と役柄を断じられない二面性をもっている...
死んでからじゃ遅い。
「怒りは怒りを来す」
「怒りは怒りを来す」。作中に出てきた言葉だが、これこそこの映画を端的に表すものだと思う。
きっかけは一人の女性の大きな怒り。娘がレイプされた上に殺害されたことに対する怒り。犯人に対する怒り。犯人を逮捕できない警察への怒り。そして娘を守れなかった自分への怒り。そしてフランシス・マクドーマンド演じる母親がその怒りを3枚のビルボードに掲げたことで、その怒りと悲しみが波紋のように広がって連鎖していく様子が、シリアスドラマとブラック・コメディの間を綱渡りするように描かれていく。あぁフランシス・マクドーマンドの座り切った目が未だ頭から離れない。
警察はおかしな権力を持ち市民を威圧するばかりの無益な存在かもしれない。いくら社会が人権の平等性を訴えても小さな田舎町では通用しない価値観かもしれない。そんな環境の中で、怒りに打ち震え、すっかり目が座ってしまったフランシス・マクドーマンドが行動を起こす。その行く先はひたすら負のループの中を突き進んでいくようなものだった。
この映画を見ていると、怒りが引き寄せるのは怒りしかなく、悲しみが引き寄せるのは更に深みを増した悲しみでしかないのだということを思い知る。まさしく「怒りは怒りを来す」。余命幾許もない保安官を巻き込み悲しみは連鎖し、看板屋の青年を巻き込み怒りはまた連鎖し、差別主義の警察官を巻き込みまたさらに悲しみは連鎖する・・・。事件の解決を望み、希望をかけたはずの3枚のビルボードは怒りと悲しみの連鎖ばかりだという皮肉。残るのは深い傷と、更なる怒り、更なる悲しみだ。
主要な登場人物らを結ぶのは怒りと悲しみによって形成されたか細い線に過ぎない。それなのに、傷つけた人間と傷ついた人間とを結んだ憎しみの糸が、僅かな絆にも似た何かや希望にも似た何かに変わっていく様子をこの映画に感じた。負のループのその渦の中心にある小さな空白が希望の光であってほしい。いやきっとそうかもしれない、と思えるエンディングを私はとても気に入っている。
日本に住んでいて「アメリカ」という国のことを連想するとき、ついついカリフォルニアの青い空やニューヨークの洗練された都会を思い浮かべやすく、延いては自由の国だなんて呼ばれたりするけれど、この映画に描かれたようなアメリカの田舎町に住む人々の暮らしや価値観や概念もまた、アメリカという国が持つ一つの表情であり、紛れもないアメリカの現実なのだということを改めて思い知られたようだった。
被害者家族の心の叫びが、映像化された作品
この時期、各映画賞でピックアップされる作品は、最新技術を駆使した超大作でもなくこんな作品ってのは、毎年恒例ですね。
恨みが恨みを呼び誰も救われない末路、最後のシーンの行き着く先は・・・
自分に反抗しまくってた娘が、親子喧嘩の後に何者かにレイプされ焼き殺される。
人種差別が根底にある社会では、警察もアテにならないと感じた母親の行動が、事件の解決に結びつと思いきや・・・恨みつらみ連鎖が止まらない。
まぁあそこまで、不審な行動しながら拘束されないのが、映画って感じはしますが、映画だから事件が解決するとは限らない〜^^;;;
こんな事件の被害者家族は、泣き寝入りするしかないのが現実ですが・・・
母親を中心に巻き込まれとばっちりを食う面々の人間描写に、翻弄される作品でした。
鑑賞者が想像する結末にもハッピーエンドはない事は、察しのつくラストに未来も何もない。。。☆4
評価は高いようですが・・・
うーむ、普通!
映画の予告で、主人公の言葉を言い放つシーンに見とれ、気になっていました。
最後のシーン、車で出掛けるまでは良かったと思います。
警官をクビにしなければ、最後のシーンも変わっていたりと思わされたり、クビにしたからこそ、犯人に出くわしたり。
やりすぎなシーン(警察署に火炎瓶や、車に缶を投げつけられ蹴り)も見受けられましたが、解決したい問題があるならば、真摯に向かい合わなければ、せっかくの行動がムダになることもあります。
幸い映画なので味方もいましたが。
せっかくの行動力も、動き方を考えねば持ち腐れです。
みにいってよかった
不機嫌な人々
すごくよかった
何から何まで悲しい話だったが、アホ警官への所長の手紙がとても暖かくて泣けて、その後失職したのに捜査を進めて、主人公のおばさんと一緒に犯人を退治に行く展開がとても泣けた。放火の告白に対して「あんた以外に誰がいるんだ」との台詞もかっこよかった。
小人もよかったし、広告会社の社長もよかった。憎んでいる相手にオレンジジュースをあげるのがすごくよかった。ウディ・ハレルソンもすごくよかった。全体的にキャラがすごく魅力的だった。
ダメダメな母親たち
これ、映画というよりも、舞台劇のような脚本?
さりげないようで、なかなか不自然な成り行きでもある。
成立しているのは、役者の上手さーーーというより存在感そのもの故?
マクドーマンド演じる母親は、19歳の娘が地元の路上でレイプされ焼き殺される、というこの世の悪夢の中にいる。
ただ、彼女自身も過剰に暴力的な女性。
良い母親だったか?というとそこも疑問。。。
母親がもうひとり、ひどい人種差別主義者の警官ディクソンの母。
これもダメ親で、ディクソンのダメっぷりはこの母親の影響が強い。
典型的な 母子癒着。
このディクソンと マクドーマンドが のっけから対立しているーーというか憎悪の応酬がえげつない。
だが、もうひとりの際立った存在 署長のハレルソンが 唯一「立派な父親」的機能を果たし憎悪が解ける緒となっていく。。
あ、ハレルソンの後任署長も立派な方だなぁ ....
広告会社のレッドくんや、小人症のジェイムスも、小市民なりの小さな正義で ダメダメなマクドーマンドとディクソンをささやかながら支えるんだよね。
マクドーマンドはFargo でもオスカーもらってることもあって、なるほどフムフムな演技なんだけれど、ダメ警官ディクソンはインパクト強かった。
最初に運転しながらmow! mow! って叫びまくるカンジ悪さったらない。暴力的差別主義者であることが端的に表現されてる。
この人、20年前くらいの D・バリモア、C・ディアス、L・リゥの チャーリーズ・エンジェルスの敵役に似てるなぁ ... と思ったら、その通りだった。
サム・ロックウェル!
すっかりおじさんになってて、体重もだいぶ増やしたか?あのイヤ〜なカンジの出し方は磨きがかかってたなぁ。
最後まとめていくくだりは、安易な気もするけれど、まぁ気持ちはわかる。
痛みを分かち合い、心から共感してくれる人がいること。
傷を癒すのは復讐ではなく ......
冒頭の庭の千草 は Renne Flemming
これが母性溢れる歌唱。象徴的。
感情がぐちゃぐちゃ
みんながこぞって、この映画を褒めちぎる理由が
私にはわからなかった…
主人公ミルドレッドは"復讐に燃える母親"というより、"頭の狂った女性"にしか思えなかった。
元夫のDVが原因がおかしくなったのかもしれないけど、シリアルを飛ばしてくるお母さんなんて嫌だ。
19歳の馬鹿っぽい女の子と寝る父親も嫌だけど。
親子喧嘩はどこの家庭にでもあることだろうから仕方がないけど、事件を招いてしまったから仕方がないではすまされないよね。
小さい男性を見下してたのもすごく嫌な気分になったし、放火したのも最悪。誰もいなかったのならあの流れでも良かったのかもしれないけど、ディクソンがいたのに気付いてもやってないって言うし出頭もしないなんて。
署長はいい人だと思った。
自殺の原因はガンだけではないと思うけど。
心の底には責任を感じててつらかったと思う。
私も特に理由はないけど学校を休みたくなることがある。本当は課題が終わってないからなんだろうけど、特に理由はないって思うのは"課題が終わってないから学校を休む"って思いたくないからなんだよね。
署長の自殺もそういうことだと思う、私の欠席とは規模が全然違うけど。
ディクソン巡査は暴力的過ぎる。
看板屋を殴ったって仕方ないじゃない。
それに、殴って殴って窓から投げて、女の人も殴って…
殺人未遂じゃないの、この男こそ逮捕するべきでは??
火事の中から事件ファイルを持って出てきたり、飲み屋で犯人かと思って行動を起こしたり、途中からいい人だなって思ったけど…
やっぱり過暴力的に思える。
レッドはなんとなくいけ好かなかったけど、気付いたら結構お気に入りの人物になってた。
彼のように、殺されかけた相手にもオレンジジュースを注いであげられる人物になりたい。
まとめると、よく分からなかった。
とにかく感情がぐちゃぐちゃにされた。
笑ったし、たくさん泣いた。でも、今はよく分からなかったっていう気持ちしか残ってない。不思議で仕方ない。
自分が観るには幼すぎたのかも知れない、あるいは元々自分には向いてなかったのか。
数年後にもう一度この映画を観たらまた違う気持ちになれるかも。
みんなが評価してるのには理由があると思う、でも、みんなの感想を読んでもイマイチわからない。
私がよく分からなかったのにも理由があると思う、例えば話の内容を勘違いしてたり、偏見的な意見をもってるのかもしれない。
もし、私の拙い散文をここまで読んでくださった方がいて、何か意見があれば、是非コメントしていただきたいです。
映像とセリフによる表現方法の可能性
よくよく振り返ると登場人物は限られている。その割に表現に多様性があるのは、脚本がよくできているからかもしれない。
ストーリー展開がすごいという前評判を意識していたが、ストーリー展開を重視しているというよりも、映像とその切り替え、セリフ展開、会話の展開を重視しているという印象を受けた。そういう意味で、この映画は、巷でいわれるほどのストーリー映画ではなく、むしろいまのアメリカ社会の問題に対して人間の内面の側面から踏み込もうとした映画であり、また一つの新しい表現の形なんだと思う。
心が揺さぶられるというのではなく、心に打撃を与える種類の映画。
この映画の感想はとても難しい。批評はできても、感想となると難しい。
しいていえば、良い映画。多くの感想が浮かばない。そうなるのは、この映画が、社会性という論点を言葉やフォーマットではなく、心・感性で表現しようとしているからなんだろう。
こういうふうに論点を飲み込んで、こういうふうに映像とセリフで表現していくスタイルの映画はそうそうあるもんじゃないような。
この監督のこれからの映画づくりが楽しみだ。
母の思いが胸に刺さる
娘を殺された母ミルドレッドが3枚の看板をたてることにより
起こる様々な人間模様を描いている
レイプされ燃やされ殺される娘 犯人はつかまらない
母親はどんな思いで日々を暮さねばならぬのか
私も子を持つ親としてミルドレッドの気持ちが痛いほどわかり
観ていてとてもつらくて涙が出た
今回はミルドレッドの他、警察署長やその部下など
様々な人間模様が描かれている
普通多くの人間を描いた作品は内容がぶれて 観ているものが
どの人物を観たらいいかわからずつまらない作品が多い
しかしこの映画違った
多くの人物を描いていても 全ての人物に感情移入が出来た
脚本の力なのかなと私は思った
所長役のウッディ・ハレルソンはかなり前になるが
ナチュラル・ボーンキラーで恐ろしい殺人者を演じていて
そのインパクトがかなり強かったが
今回は家族を愛するやさしい警察署長の役を演じている
180度違う演技だが これはこれで はまり役だと思った
さすが役者!!
この作品は色々と起こる出来事を淡々と描いている感じだ
願いより努力と言うセリフが出てくるのだが
人はどんなことがおきようと それに立ち向かう
努力が必要ということか
殺したり 憎んだり 破壊したりせずして・・・
映画版チェス
罪を憎んで人を憎まず
全501件中、361~380件目を表示










