スリー・ビルボードのレビュー・感想・評価
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脚本が良くできてるが
脚本が良くでき過ぎており、作られた寓話のようにしか思えなくなってしまった。母のストイックな姿勢がカッコよくて、もっと泥臭い話であればもっと入り込めた。
音楽もちょっとくどいように感じたんだげど、評価高いんだよな〜
好みの問題かな〜
アカデミー好みのストーリー
評価の分かれる映画かな。
「アラバマ物語」や「夜の大捜査線」に連なるアメリカの恥部をさらけ出しながらも、一方でアメリカ人の良心を描いている、と思えれば良品でしょう。
盛り上がり場面もあまりなく、特異な情況ではあるものの考えられる範囲の内の生活の一部を切り取った作品だと思えば退屈この上ない作品とも言える。
全米アカデミーは恐らく前者の視点でこの作品を評価するでしょうね。
作品賞はともかく、個人的にはウッディ・ハレルソン(ウィロビー署長役)か、サム・ロックウェル(ディクソン警官役)には助演男優賞をあげたいなぁ。
愛と憎しみは表裏一体
憎しみは憎しみを生む。
雪だるま式にあっという間に巨大化しエスカレートし続けるそれは、それぞれの正義の名のもとに存在している。
この映画にはヒーローもヒロインもいない。
登場人物は良くも悪くも私たちと同じ普通の人間だ。みんな完璧なんかじゃない。
私たちだって、こうしているうちにも愛する人や守るべきものがあるがゆえに、時として狂気に満ちた憎しみを生みだしてしまう可能性がないとは言えない。
愛と憎しみは表裏一体。
にもかかわらず憎しみは憎しみしか生まない。
しかし愛と優しさは凍りついた心を簡単に溶かしてしまうパワーを持っている。
ラストシーンでのミルドレッドとディクソンとのやりとりは、何気ない中にも優しさが溢れていてなんとも言えず温かい気持ちにさせられた。
まだ何も解決はしていないけれど、やっと肩の荷がおりたような2人の安堵の表情とミルドレッドの笑顔がとても印象的で、今後の明るい未来を示唆していると感じた。
人間性を試されました。
自分がどれだけ浅い心の持ち主であるかが露呈された展開でした。
ことごとく物事や人を一時の表面でしか見ていないんだなと。
決めつけや思い込みがどれだけ己の人間性の豊かさを止めてしまっていることか。
自分の感情が最優先で何が悪いのかって情けないやらそれが本音だと開き直るやら。
自分を試された映画でした。
私はてっきりあのオレンジジュースを渾身の憎しみを込めて火傷の体に注ぎ垂らすものだと。
そしてヒリヒリもがき苦しむ姿を想像して観ていました。
もし自分だったらそうしていたかもしれない。怒りの興奮を制御できなくて。
でもそうではなかった。
裏返ってもがいている虫を何事もなくそっと元に戻してあげるミルドレッドの優しさを
私も取り戻さなければと反省したのでした。
不寛容に満ちたアメリカ
アメリカはメイフラワー号での上陸以来、フロンティアスピリッツという名の先住民虐殺を経て建国し、農業のための奴隷をアフリカから大量に輸入した歴史を持つ歪んだ国である。差別と殺人がアメリカの特徴なのだ。その歪んだ国の中でも特に差別の激しい片田舎を舞台にしたのが本作品である。
ムラというのは村八分という言葉に代表されるとおり、共同体の利益や風習に背くものを迫害する。価値観の多様性を認めず、異分子の存在を許さない一元主義なのだ。アメリカは国全体がムラである。しかも銃社会である。銃を使って異端を排除してきた歴史がアメリカの精神性に深く刻み込まれている。
登場人物たちは根っからの悪人という訳ではないが、ムラ全体を覆う差別意識と一元主義に人格をスポイルされていて、他人を許さない人間ばかりだ。しかし物語が進んでいくと、少しずつ互いを認め合う部分が現れてくる。まだまだ希望と呼べるほどの代物ではないが、僅かながらその兆しはある。
自分だけ得すればいい、今さえよければいいという、不寛容に満ち満ちた現代のアメリカにあって、この映画の存在価値はもしかすると大きいかもしれない。
憎しみは憎しみしか生みださないのかと思いきや、愛は憎しみを生み憎し...
憎しみは憎しみしか生みださないのかと思いきや、愛は憎しみを生み憎しみは愛を生む、最後の二人が単なるドライブで帰って来ることを祈りたいが、やはり分かり辛いテーマである。
怒りが怒りを
誰もが見方によって、悪者として誰かの怒りの矛先になる。
憎むべき人がそうでなくなるなど、感情移入を許さないめまぐるしい視点転換が起こって心が忙しかった。人種差別も残る、知り合いばかりの田舎町の閉塞感がまた緊張をあおる。脚本の妙。
これが世の中というものなのだなあ、自分も誰かにとっては……などと思いを馳せた。
あの鼻の下の長い男、サム・ロックウェルが良かったぞ! 毎回違う顔を見せてくれるなあ。
黒と赤の看板
サスペンス風ですけど日常系ですね
いい人でも悪い人と割り切れない人たちの織りなす日常です。
芯にある話があるので非常に見やすいですし、感情移入を促すような感じもないので
観た人によって感想が変わるんじゃないかなと思います。
こういうのって日本映画の十八番って感じですけど
やられたって感じです。
罪と赦し
見ごたえがある展開。分かりやすいアメリカ南部の分かりやすくマッチョな登場人物だと思っていたら、次々とどんでん返し。本当に悪い人はいなくて、完全に潔白な人もいない世界。罪を犯しあった後で赦しあう関係に鑑賞後じわじわと考えさせられました。
小説を読んでいるかのような濃密な映画体験!
綿密に練られた脚本力、
各々の演者の演技力、
全てを不可分なくまとめ上げた演出力!
一切、展開が予想できず、サスペンスが延々と持続し続け、登場人物すべてが愛おしい。
「ファーゴ」「LA コンフィデンシャル」「ゴーン・ガール」「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の時にも感じた、
早くページをめくりたい、いつまでも読み終わりたくない、といった、
小説を読んでいるかのような感覚を味わいました。
この濃密さは映画館でのみ味わえる体験なので、ぜひ映画館で観ることをオススメします!
怒りはぶつかり、愛はすれ違い...
またもやネタバレせずには大きな魅力を語れない系映画と遭遇した。過激な出来事の連続なのに淡々とした全編中の雰囲気が印象的だった。
この映画を取り巻く3人のキャラは圧巻だった。フランシス・マクドーマントのシーンと音楽はどうしてもファーゴを思い浮かべてしまうのは自分のせいだとしてw、見た方ならわかると思うが、相当イかれてるwけれどそれらの行動は見ていて爽快だった。特に缶を投げた学生へのシーン。日本のドラマじゃやれない、けれどもこれぐらいのやり返しをしてみたいよな、とスカッとして見ていた自分がいた。でもその真っ直ぐすぎるあまり、すれ違ってしまうエピソードも組み込まれていて、そこにまた人間味が増し...。
ウディ・ハレルソンといい、サム・ロックウェルのキャラクターといい、警察2人は新たな側面の表れをうまーく見せていた。人間ってのはどれだけ日常で相手を部分的にしか理解していないかということを考えさせられた。不器用だけど、ホントにいい人。
ピーター・ディーンクレイブ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、その他の脇もここで出るんかーいwってところで登場し、皆役割があるのも抜け目なしって感じ。人間一体どこで救われるかってわからないってことを教えてもらった。(オレンジジュースとか、嘘っぱちのデートとか...)
各々の人間関係が交錯して、その中で間違いを繰り返し、成長し、そして出会い...これらを小さな田舎町で起承転結うまくまとめてたのが今作。一回見ただけじゃまだまだ味わいきれない状態だが、相当計算されて作られていることはわかる。てな訳でまた見よう。
そしてぜひ見てほしい。
最終評価92点
どう受け止めたらよいのか
この作品をどう受け止めたらよいのか戸惑っております。
たぶんよい映画だとは思うのですけれども。
どの登場人物の考え方も行動パターンも私からは遠い。なので、共感ができない。
いちばん共感できたのは、元オットのカノジョ(19歳)です。この娘がいちばんまともに見えました。それと、息子と。
価値観の違い
脚本もしっかり作られているし、役者の演技も含めて映画としては悪くない。が、とてもアメリカ的な価値観を感じる映画だった。その意味で、あまり感情移入は出来ないし、共感もしなかった。
観てみて、アカデミー賞作品賞は、この映画かな?と思った。何故ならば、アメリカの今の闇を映し出し、問題提起しているものだから。
ただ、個人的にはこの作品にアカデミー賞作品賞は取って欲しくはない。第89回の作品賞も社会情勢を反映したものだったから、今回はもう少しエンタテインメント色を取り戻して欲しい。
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