「【”怒りは怒りを来す” アメリカミズーリ州の架空の田舎町の出来事を通して現代アメリカの抱える病巣を見事に描き出した作品。】」スリー・ビルボード NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”怒りは怒りを来す” アメリカミズーリ州の架空の田舎町の出来事を通して現代アメリカの抱える病巣を見事に描き出した作品。】
◆今作は、現代アメリカの”負の地域に焦点を当てた”傑作である。 ー
”観光のみで成り立っているミズーリ州の死んだような田舎町を舞台にした、不毛で哀しい物語。”
・娘を殺された激しい怒りを抱えた土産物店を営む、母親ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)と、誠実なそして自ら病を抱えた警察署長ウィロビー(ウディ・ハレルソン)の切なすぎる遣り取り。
・ウィロビーを慕うかなり短絡的なディクソン巡査(サム・ロックウェル):彼の姿は”ミズーリ州”で起こった白人警察官による黒人青年射殺事件を容易に想起させる。
そして、彼は粗暴ではあるが、独身で母親と暮らす”ABBAのチキチータ”を愛聴し、カウチに座りTVの劇映画を虚ろな眼で見ている男である。
・ミルドレッドが田舎町の三枚の空き看板に
”赤地に黒文字で記した強烈なメッセージ”
の掲載を求めたエビング広告会社の若き経営者を演じたケイラブ・ランドリー・ジョーンズの軽薄な姿(「ゲット・アウト」や「バリー・シール」での怪演振りも記憶に新しい)も、今作の舞台である”ミズーリ州の死んだような田舎町”を象徴している。
・ミルドレッドの息子ロビー(ルーカス・ヘッジス:田舎町の青年を演じさせたら右に出るものなし!)の自らの未来が見えない、遣る瀬無い想い。
・病を抱えていたウィロビーは暴力的なディクソン巡査の中のある理由による”善性”を信じ、妻とミルドレッドとディクソン巡査に彼の深い想いを込めた手紙を遺す・・。
・警察署長ウィロビーと、ミルドレッドの相手の立場、境遇を分かった上での、公園での会話。
・警察署長ウィロビーが遺した手紙がミルドレッドとディクソン巡査にもたらしたものとは・・。
<熟達した名優二人と有望な中堅、若手俳優達が織りなす重厚なヒューマンドラマ。
現代アメリカ社会に対しての警句も強烈に効かせたマーティン・マクドナー監督の辣腕が冴え渡る見事な作品である。>
<2018年2月1日 長野県の劇場にて鑑賞>
<その後、別媒体にて鑑賞。鑑賞後の深い余韻は変わらず・・。>
コメントありがとうございました
> 書き直そうかな
そのままがいいですよ。「観た時に感じたこと」、それがレビューの真骨頂ですから。
もしよかったら、自分が「なるほど」と思った、浮遊きびなごさん、ぐうたらさん、MPさんらの本作へのレビューを読んでみてください。
コメントありがとうございました。
ラストシーンをあえて描かない名作と
描けなかった駄作もあった気がします。
何れにしても、この作品のように余韻に浸れる映画に出会えた時は嬉しい限りです。
今後とも「映画.com」でのお付き合いのほど宜しくお願いいたします。