「SNS時代の問題点を浮き彫りに」スリー・ビルボード とえさんの映画レビュー(感想・評価)
SNS時代の問題点を浮き彫りに
なるほど、噂通りのすごい映画だったけど、私にはちょっと恐ろしい映画だった
アメリカ ミズーリ州の小さな田舎町エビング
娘がレイプされ、殺されてしまい、未だ犯人が逮捕されないミルドレッド
そんな彼女は警察の不手際を告発する3枚の看板を立てる
その看板をきっかけに静かだった田舎町の町民を巻き込み、さまざまな事件を引き起こしていく
心の声を活字にすると、読み手によって、それは暴力にもなり得ると思った
ミルドレッドがしたことは、まさに現在、私たちがツイッターやインスタやフェイスブックを使って、様々なできごとに対し批判や抗議をしているのと何も変わらない
そこにあるのは、正義感かもしれないし、悔しさや憎しみといった負の感情かもしれない
私たちはツイートすることで世間に問題を提起し、なんだか良いことをしたかのような気分になる
賛同してくれる者もいれば、反対する者もいて、両者が議論をしているうちは良いけれど
それはいつしか「魔女狩り」へと発展していってしまう
「文字」というものは読み手によって様々な感情を引き起こし、問題をエスカレートさせるだけなのだ
それでは、レイプ事件だけでなく、人種差別や偏見といった問題は何も解決しないのだ
これは、まさに今の時代だからこその作品だと思った
アメリカの南部の田舎町が、何でできているのかを観た気がしたし
ラストの晴れやかな表情が私の気持ちを暗澹とさせる映画だった
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