「全キャストの好演があって成り立つ」スリー・ビルボード ジンジャー・ベイカーさんの映画レビュー(感想・評価)
全キャストの好演があって成り立つ
様々なコンペで受賞あるいはノミネートされていて、ずっと気になっていた作品だったので鑑賞。イイ意味で予想を完璧に裏切られた。
ストーリーはレイプ殺人事件の被害者の母親とその事件をほったらかしにしている警察の争いを描いたもの。
まず、脚本は完璧だったように思える。悲劇が連鎖的に起こりながらも、展開は読めず、鑑賞しながらも何か新鮮さを感じた。テーマが人種差別やマイノリティと重いものの、全体として一貫性があって、理解もしやすく鑑賞していて飽きることもない。
脚本が良いことに加え、キャスト全員の演技が完璧であった。フランシス・マクドーマンドの演技はもちろん、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェルの演技も非常に良かった。物語を通しての各キャラクターの感情の変化が彼らの演技を通して伝わってくる。特にフランシス・マクドーマンドの表情の演技が涙を誘うシーンが多々あった。
全体を通して、非の打ち所が無いといった印象を持った。ある一つの事件を各キャラクターの視点から深く掘り下げつつ、社会風刺的な映画になっているところに好感を持てる。
連鎖的な事件性に加え、各キャラの感情の兼ね合い、折り合いを鑑賞することで人間の普遍的な問題を考えざるを得ない。映画として色々な要素が詰まった傑作だと思った。
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