「ポーランド留学で映画を学んだ石川監督のユニークな感性に乞うご期待」点(2017) odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ポーランド留学で映画を学んだ石川監督のユニークな感性に乞うご期待
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興味を持ったのは上映時間の短さ、いわゆるショートフィルムというところ、20分余りで恋愛ドラマをどう構築するのか、ポーランド留学で映画を学んだ石川監督のユニークな感性が光ります。
普通に考えれば選択と集中で凝縮させる手法だろう、アイコン化することで説明を省ける手法は理系出身の石川監督の才覚ですが恋愛ものには情緒を削ぐ恐れが拭えない、本作は香りをかがせて森や海を想像させるような観客の感性が自由に物語を膨らませるニューヨーカー短編集のような王道のエピソード型でもあります。
感心するのは石川監督のシチュエーションづくりの巧みさですかね、女性のうなじを剃るなんて下手な濡れ場よりセクシーに感じますし、タイトルの「点」がうなじのほくろ、彼女のほくろを知っているだけで二人の関係性が伝わります、これだけで約一時間分くらいに相当するでしょう。
詰め込んだせわしさは微塵も無くむしろ早く仕事をしなさいよというくらいのんびりテンポ、山田孝之さんはCMでも様々な職業人を器用にこなす芸達者ですから、本作でもなりきるかと思いきや床屋なのに無精ひげ、元カノの登場で容姿を気にする青春時代が蘇ったのか、剃刀を手にするラストシーンもエンジンがかかったようで二人のその後が膨らみます。
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