「実話ベースのホラー」エクリプス Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
実話ベースのホラー
すっかり「REC/レックの監督」でお馴染みと化したパコ・プラザ監督の作品。1つ名作を生むとその後はどうしてもインパクト薄になるものだが、本作の扱いもその1つなのだろうか。やや派手目なパッケージとは裏腹に、仕事で疲れ切っている母の代わりに家事や3人の下の子の面倒も見る働き屋さんの主人公ベロニカにじわじわと恐怖が降りかかる。日常の明るいシーンが多いため、昔のJホラーの様なじっとりした恐怖感は無いが、ある程度ポイントは押さえている為飽きずに最後まで鑑賞することが出来た。だが、怖いかと言われれば何とも難しいところで、恐怖のインジケーターが終始平穏な状態だった。また、本作のキーワードとなっている日食も、その存在意義を押し出す事も無く、それが解決の糸口になる事も無く、ただの「現象」という物で終わっていたのは残念だった。確かに実際にあった出来事をあくまでもベースにしている為、エンターテインメント的な脚色は許されるものだろうが、と言えどもそこまで大それた描き方は出来ないだろう。だが日食という珍しい現象であれば不思議な力も生むかもしれないし、それを期待してしまった自分もいる。恐らく私は宣伝文句に煽られただけなのだろう。広告会社の仕事ぶりには感心させられる。
それでも少しづつ近付いてくる得体の知れない恐怖感は十分に感じる事が出来て、日々大変な思いのベロニカに更なる試練が降りかかる様にはかなり感情移入してしまった。全裸で登場する父親の霊と、囁くように名前を呼ぶ異形の物の声は不気味だった。本作の物語はスペイン警察が初めて認めた怪奇現象とされるものだが、世の中にはこの様な不思議な事件がまだまだあるのだろうか。
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