劇場公開日 2017年12月2日

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「クライマックスはホラー」プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード ばんきぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0クライマックスはホラー

2018年1月7日
iPhoneアプリから投稿

人気爆発中のモーツァルト(既婚イケメン)がちょい田舎のプラハに招かれ、そこで新進気鋭のソプラノ歌手スザンナ(ウブな美少女)と恋仲になっちゃうんだけど、スザンナを狙っていた地元の有力者サロカ男爵(未婚非モテ)が横槍を入れてきて、さぁ大変!っていうお話。
この映画、プラハの街並みとかオペラのシーンとか豪華な衣装とかが見どころなんだろうけど、自分的に一番の見どころは、サロカ男爵がスザンナを屋敷に連れ込んでウヘヘっていう場面。
男爵のゲスっぷりが突き抜けすぎててホラーにしか見えなかったよ。
最前で観てたからこのシーンの迫力がハンパなくて、マジ怖かった……
クラシック音楽ってホラーと相性バツグンだね。
ある意味ここがクライマックスなんじゃないかな。
ところで、サロカ男爵のゲスぶりが際立っているのでモーツァルトがいい奴に見えちゃうんだけど、冷静に考えたらこのモーツァルトもかなりのゲス野郎なんだよね。
なにせ、ウブな美少女の身も心も奪いつつ、不倫スキャンダルを魔逃れた(モーツァルトはザルツブルク大司教に睨まれていたので、スキャンダルになると作曲家生命を絶たれる可能性があった)上に、スザンナとの経験を肥しにして傑作オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を作りあげちゃうんだもん。
モーツァルト、そちもワルよのう……
逆に、オレは悔い改めなんかしないぞーって言って最期を遂げた(ちょっとネタばれ)サロカ男爵は、まぁ、全く同情の余地がないんだけど、オレだけが悪者なのかよーっていう叫びに聞こえなくもなく、彼はみんなの罪を一身に背負わされちゃったイエス様なのかなとも思ってしまった。

ばんきぃ