「指2本による速弾き!」永遠のジャンゴ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
指2本による速弾き!
知らなかった。こんな荒んだ時代にこんなに熱くプレイする男だったとは。ナチスによる迫害は知ってはいたけど、幼い頃の火傷によって左手薬指と小指が動かない状態だったことを初めて知った。こりゃ野口英世以上だ。
ロマ(ジプシー)音楽とスウィングジャズとの融合。メロディもどことなく異国情緒たっぷりの情熱的。CDも持っていて、真似できないとコピーも挫折した経験があるのですが、二本指でここまで弾くにはかなりのテクニックが必要です。ジャンゴ演ずるレダ・カティブの運指も相当練習したと思われるくらい。
ミュージシャンの伝記映画はドラマであれ、ドキュメンタリーであれ、ほとんどが麻薬に溺れて消え去ってしまう。しかし、ジャンゴは煙草吸いすぎだけどヤクはやらない珍しさ。ナチスもフランス憲兵隊も彼らを迫害するけど、自由という信念を貫き、国に従属する気は全くない姿勢。音楽を聴いて楽しんでもらえばそれでいいんだ!
ステファン・グラッペリやルイ・アームストロングの名前も出てくるし、彼の音楽のルーツもある程度わかる。ナチス将校の前で演奏する際には、テンポの速い曲はダメ、シンコペーションは5%まで、ブルースはダメ、ソロは5秒以内で・・・無茶苦茶じゃないですか!(笑)。
教会を借りてパイプオルガンで作曲する姿もいいし、これがラストのレクイエムに繋がる。字も書けないんだから、写し取るのも大変なのだろう。それがこんなに悲しく響いてくるとは。
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