「天才ギタリストと第二次世界大戦」永遠のジャンゴ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
天才ギタリストと第二次世界大戦
ジャズのみならず、ギタリストだったりギターに興味がある人には伝説の存在であるジャンゴ・ラインハルト。ジプシージャズの第一人者として知られているのだから、よく考えたらわかるはずだった。ナチスドイツがユダヤ人だけでなく、ロマの人々や同性愛者も迫害の対象にしており、同時代を生きていたジャンゴにとってもホロコーストは他人ごとではなかったのだと。
ジャンゴ・ラインハルトの伝記映画、ではあるのだが、この映画はジャンゴが様々な形でナチスと関わった二年間にのみ焦点を絞っていて、銃後の戦争映画のバリエーションでもある。定住しないロマの出身であるジャンゴは政治や戦争に興味を持たず、ただプロの音楽家として生きているつもりだったのに、否応なしに民族の一員であるアイデンティティに気づかされる。
ジャンゴがナチスに演奏を強要されるというドラマチックな挿話をメインにしつつ、静かな葛藤と成長のドラマに仕上がっていた。
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