「奇形と美と恋」スキン あなたに触らせて 田名部真吾さんの映画レビュー(感想・評価)
奇形と美と恋
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ピンクとパープルの画がファンシーできれい。
眼球のない11歳の娼婦を買うところからスタート。
現実に存在する障害、非現実的なオリジナルの障害、後天的に容貌を損なった者など、複数の奇形の人物が登場。そして、奇形者しか愛せないという嗜好の者と、自らの体を改造し奇形になりたいと願う者。
障害者というわけではないがひどく太った女性が登場人物におり、彼女は明らかに奇形の人物に対して悪意を持って嘲笑を向ける。そのシーンが印象的だった。太った女性は容姿に対してコンプレックスを持っている。だからこそ容貌に難のある人物に優しく、とはならず、むしろ積極的に傷つけにかかる。
最終的に数組の登場人物が恋人同士になり、レズビアンカップルも誕生する。二人は百合的な美少女同士ではない。普通の枠組みから外れた容姿の者同士である。でも二人が結ばれた瞬間は「よかったなあ」と単純に思えた。
結ばれる者もいる一方で破局も描かれる。奇形であることのスタンスの違いが原因となった。
「手術で治せる奇形だからと、治せと言われるのは嫌」「かといって奇形が好きな嗜好だから君を好きになった、と言われるのも嫌」という考えの人物がおり、難しい問題。
遺伝する奇形、しかも単に美醜の問題ではなく生活が困難な類のもの、と知りながら子供を産む人物もいる。
どのような考えが正しいか、より良いかということは述べられず、ただそれぞれの生き方が描かれ、そして苦難はあるだろうけどハッピーエンドだった。
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