「四月は君の嘘と俺ガイルを混ぜて水で薄めた感じ?」君の膵臓をたべたい 鳳凰院凶真さんの映画レビュー(感想・評価)
四月は君の嘘と俺ガイルを混ぜて水で薄めた感じ?
何から言って良いやら…
取り敢えず第一印象としては上記のタイトル通りであります!
まず膵臓である必要があったのか。焼肉のシーンのために膵臓にした感が拭えないのだがそれはまぁいいとして…
上記のタイトルにある2つの作品、これは私にとってすごい好きな作品で、劇中では何度鳥肌が立ったのかわからないくらい感動したし、泣いたし、笑いました。
しかーし!この作品には全くもってそういった事実がなかったと言えよう。それはなぜか。
私が考察するに、日常と非日常のバランスというものが取れていないのではないか。
これは現実であり得る描写と所謂御都合主義と呼ばれる非日常の描写。文字列だろうが2次元だろうが3次元だろうが、物語と呼ばれる作品の大半はこの2つのバランスから成り立っているといっても過言ではないだろう。(全て知っているわけではないが私の知っている物語は大抵該当する。)
その中で大勢の者たちから賞賛されるような作品とはそのバランスがうまく保たれている場合が多いと言える。
具体的なバランスというものは私が未熟なためなのか、そもそも口にするようなものではないのかわからんが、説明が出来ないが何となくそのバランスの悪さが読み取れてしまったことが非常に残念である。
また、奇をてらう作戦だったのだろうか、原作からの設定なのか、原作未読であるため判断を致しかねるが、冒頭部分にほぼラストと言っていい描写を持ち込み、結果が丸見えのまんま物語が進む。これじゃあ感情移入も自己投影もできない。故にワクワクもドキドキもハラハラもしない。(もしかしたら最大の戦犯がこいつかもしれない。)
また、間の取り方というか、テンポが悪い。若しくは合わない。こう見えて意外と映画の感想とかに共感してくれる人が多い自信のある私故、テンポが悪いと感じた人はいたりするのではなかろうか。そんなことないか。そんなことないと感じた人はそのまんまバツボタンを押すことを強くお勧めします。
あと細かいところを攻めると、主人公の春なんとかくんのお母さん。登場2回目にして全てを悟ったこと言ってんな。こいつラスボスなんじゃねぇの?
とまでは思ってませんがそんなセリフあんならもうちょい出番増やしてあげても良かったのではないですかね…
あと、ヒロインさん通り魔に刺されて死ぬんかーい!(ネタバレにしてあるから大丈夫だよね?)初っ端の雑な伏線をラストスパートであっさりやっちゃうために使うとは…
てかヒロインさん運悪すぎでしょ。膵臓腐ってる上に通り魔とか、製作陣がヒロイン恨んでるまである。
まぁその後の春なんとかくんが友達を作るって目的の為に通り魔に刺されたことにしたのはなんとなくわかるけど…
ひとりぼっちで友達のいない、臆病な春なんとかくんが自らの人生には異質な存在、山なんとかさんと出会うことで成長し、友達ができるまでの軌跡…的な感じなんでしょうが
これは壮大な物語の末、かませ犬になったヒロイン、爆誕!!(ドンッ!)
あと、絵がぬるぬる動かしすぎて若干引きました。ぬるぬる動けばいいってもんじゃない、適度なバランスをだな…
「みんなでやることが素晴らしくて、みんなでやることがいいことで、じゃあ、一人でやることは悪いことなのか?
どうして、今まで一人でも頑張ってきていた人間が否定されなきゃいけないんだ。
そのことが俺は許せない。」
「俺は今の自分を過去の自分を否定しない。一人で過ごした時間を罪だと、一人でいることを悪だと、決して言わない。」
by比企谷○幡