「絞り込んだ肉体美、そこにたたずむ新田真剣佑がカッコいい映画」OVER DRIVE Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
絞り込んだ肉体美、そこにたたずむ新田真剣佑がカッコいい映画
「海猿」(2004/2006/2010)、「暗殺教室」(2015/2016)の羽住英一郎監督による、"ラリー・カー"レースをテーマにしたオリジナル作品。
映像と音響の作り込みは、拍手を送りたいが、残念ながら企画モノである。最新の3D VFXを使えば、もうどんな映像も実現可能な時代である。製作主体であるROBOTとフジテレビが、"レインボーブリッジと首都高速を自動車レースのコースにしたい"という夢を映画で叶えたかったのか(笑)。
フジテレビが1997年にお台場に移転した頃、民放は今より、はるかに景気がよかった。翌1998年、「踊る大捜査線 THE MOVIE」の大ヒット(ROBOT製作)。1996年の世界都市博覧会の中止もあって、当時のF1人気から、お台場で公道コースのF1グランプリを行えないかという、途方もない計画が取りざたされたことがある。
実際、映画に出てくる首都高をコースにしたタイムトライアルにはワクワクする。現実的には、東京の幹線道路の封鎖は不可能。安全面でもナンセンスである。しかしエンジン音やタイヤ音、エギゾーストノートもリアルで、これが大スクリーンで観られるだけで価値がある。
東出昌大と新田真剣佑のW主演で、自動車メカニックの兄とレースドライバーの弟という兄弟ドラマになっている。しかしストーリーの掘り下げが薄い。レーススポーツの挫折と再生を描いた典型的なスポコンものなので、容易にオチが見えてくる。檜山兄弟の秘密といっても、たいしたことない。
個人的な趣味で恐縮だが、東出昌大の鼻声が苦手なので、どうにも入り込めない。逆に新田真剣佑は、とことんカッコいい。絞り込んだ肉体美を含め、たたずまいから手放しで楽しめる。
新田真剣佑ファン向けとしては、超Aクラスの作品だと思う。
PRマネジメント会社の担当者役を森川葵が務めるが、この娘を出すなら、主人公との恋愛ストーリーに持っていったほうがよかったのでは。
( 2018/6/2 /TOHOシネマズ日比谷/シネスコ)