「良質サスペンス」ありふれた悪事 SungHoさんの映画レビュー(感想・評価)
良質サスペンス
金曜夜の1本目は、今年の41本目(目標まで残り12本)。今日が公開最終日の韓国映画『ありふれた悪事』。かなりいいサスペンス映画だった。
舞台は1987年春、全斗煥政権下のソウル。大統領直接選挙へと至ることになる「6月民主抗争」の引き金となった学生拷問致死事件に着想を得たフィクション。ストーリーをかなり複数絡ませながら、わかりにくさは感じさせない、とてもよくできた脚本だった。
邦題とは異なり、原題は『普通の人(보통사람)』。
脚本中では拷問によって殺害された社会派新聞記者の口から発せられる単語であるものの、この記者のことではなく、悪事に加担させられて翻弄されることになる刑事こそが「普通の人」-- 正義感を理解する心は持ちながらも、生活に悩みも抱えていて、それゆえに誘惑に弱い、いたって普通の人であることが含意されている。
87年という時代設定のため、光化門周辺が映る1シーンでは、門の後ろに解体される前の旧朝鮮総督府庁舎(87年当時は国立中央博物館)が見えた。
巨悪たる国家安全企画部室長を演じるチャン・ヒョクの「ザ・韓流のムカつくやつ」っていう役回りの演技がとてもいい。
最終日に見ておいてよかった一作。
2017年 通算41本目
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