サイモン&タダタカシのレビュー・感想・評価
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翼が生えたケンタウロス。
サイモン&タダタカシ。特別先行上映(2/12)で最初に観た時は、あら?このラストは、どう捉えれば良いのかしら?…と、正直戸惑った。まあ、ラストに至るまで突拍子もないことばかりなんだけど。一緒に観に行った夫は、全部サイモンの妄想だったんじゃないのか?最初の高校の授業風景から ちょっとおかしかったし…とまで言う始末。おい待て。こんなにも命がけの旅から生還を遂げた二人に対して、奇面組(漫画のほうね)みたいな、全部 唯ちゃんの夢でした的な締め方で丸く収めようってか?オマエ、鬼って知ってるか!?(夫とはこれ以来、この映画について話しはしてません)。
さて。3/24の初日舞台挨拶付き上映×2回 と、クラウドファンディングのリターンで頂いた前売り券を使って3/27に観まして。通算4回観ての私なりの感想を。
まず、どこまでが現実だったのかに関しては、これはもう、え、そんなの全部だよ、全部二人が経験してきたことだよ、と。今の私は、そう思ってます。本気で。
強いて言うなら、バス降りてサイモンから見て左、ではなく、タダちゃんから見て左 に行った時点で、あ、これはちょっと変な世界に二人して入っちゃった感じ?と。初回を観終わった時に、何となくだけど ロッキーホラーショーを観た後に似てるなーと思ったの、今なら理由が分かるなあ…。もっと言うと、『千と千尋の神隠し』的な感じじゃない? 導入部はガチ現実。旅パートは ちょっと現実離れした世界だけど、自分を見つめ直したり気づかされたり自分が変えられていく経験値アップステージ。そして現実に帰って行くんだけど、帰って来た二人は、外見は変わらないけど、新たに生まれ変わったかのような。
私はやっぱり、あの変てこな『運命の女を探す旅』は、あの タダちゃんにとって左に進んだ世界の中で、二人の身に降りかかったこと や 其々が思ったこと感じたこと 切なさも涙も驚きも勇気も愛も、全て 二人のリアルな経験値としてこれからの人生の糧となって欲しい って、凄く、凄ーく 思ってしまう。
ジブリのあの世界観をすんなり受け入れて拍手喝采な日本人が、こと、実写になると途端に 現実世界との辻褄合わせに必死になるのは何故なんだろうか。いや、最初に観た時の私もそうだったけど。そんなアタマに響くのは、河原でタダちゃんがサイモンに言い放つ、
「 つまんねーな、おまえ… 」。
…そうか。そうだよな。リアルな現実だけを観たければ。ドキュメント番組を観ていれば良い。
旅の終わりに、じゃ…、と別れようとするサイモンから始まる一連の会話がとても好きだ。
「じゃ…」
「おい、どーすんだ?」
「俺、諦めたから 大丈夫だよ」
「そうじゃなくて。今日も おでんだって。… やっぱ俺は女が好きだよ」
「うん」
「なあ、俺のどこがいいんだよ?」
「全部」
「じゃあ なんで彼女出来ないんだよ?」
「みんな 見る目が無いんだよ」
「じゃ、お前は あるのかよ」
「ある」
「じゃあ、彼女出来るまで手伝え」
「出来なかったら?」
「後輩に手ぇ出す」
「ダメじゃん」
「うるせーよ。ジュースくれよバカ!」
冒頭のアニメーションのタダちゃんは、健太ウロ…いや、ケンタウロスとして神々しく混沌としたサイモンの前に現れて心を射抜いたけど、ラストに現れる健太ウロ…(しつこい・笑)いや、ケンタウロスには、翼が生えてる。大きな翼を広げ、ケンタウロスでありペガサスになったタダちゃんは、サイモンを背中に乗せて大空を駆ける存在に変貌を遂げた。
サイモンの気持ちを受け入れることは出来ないけど、受け止めはしたタダちゃん。自分の全部を良いと言ってくれる存在が居ることを知ったタダちゃん。
サイモンがジュースを投げたその場所に居たのが変貌前のタダちゃんだとしたら、一瞬消えても不思議じゃない。光輝くケンタウロペガサスのチカラで、ズタボロになったTシャツだって真っさらになれちゃうだろうし、そんな真っさらな気持ちで、サイモンはまたタダちゃんを好きになる。
エンディングに流れる どついたるねん の『静かなるドン』の歌詞が心にじんわり沁みていくエンドロールは、夜空のようで。『サイモン&タダタカシ』は、見る度に、私を好きにさせてくれる。
いい意味でバカバカしい!笑
素晴らしく、くだらない映画です!笑
男子高校生のリアル過ぎる感情を描いていて、とても面白い!
まさに性春映画!笑 テンポ良くて小ネタ満載!
2人の一方通行の恋模様もとても心地いい。
ジオラマやアニメーションもいい意味で安っぽい面白さがあり、唐突に過ぎるが故に笑ってしまう、一歩間違えば寒いと思われてしまうリスキーな事に果敢に挑戦する!まさに新進気鋭の映画監督だと思います!
個人的には体育の先生の出現の仕方がツボでした!
是非次回作を期待します!
どうして
最初に「愛の話」と言っていたが、その割に大事なところが派手なアニメーションとありえない設定で誤魔化されていた。最後の夜道のシーンが繋がった画として見えてこない。セリフは面白いし、大枠は全然受け入れられるのに、勿体ない。欲張ったのか、その場のウケ狙いに終始したのかわからないが、とにかく勿体ない。
どうして、もっと人間に迫らないのか。なんでサイモンはタダが好きなのか?わからない?でもわかりたい筈だ。なら葛藤させればいい。それを存分にアップで撮ればいい。演技デビューだからこそ拾えるドキュメンタリー感があった筈だと思う。
アニメーションもありえない設定も否定はしない。でも、それが作り手にとっても役者にとっても、ある意味逃げ場になってしまっているとしたら、こんなに悲しいことはない。
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