劇場公開日 2017年9月8日

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「こんな続編いらない。どうしたチャウ・シンチ―!」西遊記2 妖怪の逆襲 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5こんな続編いらない。どうしたチャウ・シンチ―!

2017年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

チャウ・シンチー監督といえば、「少林サッカー」(2002)や「カンフー・ハッスル」(2005)など、ワイヤーアクションをはじめとするVFXを駆使したコメディで有名。そのシンチー監督の「西遊記~はじまりのはじまり~」(2014)の続編にあたる。今回、チャウ・シンチ―は製作・脚本にまわり、監督にはやはり香港映画の大御所ツイ・ハークが務めている。

原作としての「西遊記」は、究極のパブリックドメインのひとつといってもいい。日本人がイメージする「西遊記」は三蔵法師が女性になってしまうが、もちろん本来は違う。映画・小説・演劇・マンガ・アニメ・美術・音楽・ビデオゲーム、あらゆる芸術作品のモチーフになっているのは、ヨーロッパの"アーサー王伝説"に類似していて、史実でもなければ、作者不詳ゆえに創作の自由度は無限大である。

チャウ・シンチー版の三蔵法師は、"妖怪ハンター"である。その突飛な設定は承前で、孫悟空、沙悟浄、猪八戒の奇抜なデザインは衝撃的だ。それがVFXを駆使した、いわゆるシンチーアクションでコミカルに活躍する。

しかし前作でその衝撃を受けてしまったので、拍子抜けするほど普通の続編である。中国本土で特大ヒットしたのは、"続きが観たい"というラブコールを受けて作られただけの気がする。

前作を観ないで本作を楽しめるかというと、継続している設定があるので観るなら予習は必須だが、前作のほうが格段におもしろい。

もっと新しい展開があるかと思ったが、何にもない。ボスキャラが弱すぎるのが難点だ。もっと孫悟空が苦戦しないと面白くない。これならお馴染みの有名キャラクターである"牛魔王"や"金角大王・銀角大王"を観たかった(シリーズが続きそうだから、温存しているのか)。

エンドロール後に「アベンジャーズ」(2012)ばりのサービスカットがあるが、こちらも続編予告ではなく、ホントにオマケである。

(2017/9/8 /TOHOシネマズ六本木/ビスタ/吹替翻訳:税田春介)

Naguy