「幅広い年齢層に見てほしい傑作」さよならの朝に約束の花をかざろう uttiee56さんの映画レビュー(感想・評価)
幅広い年齢層に見てほしい傑作
丁寧な作風でTVアニメ「SHIROBAKO」などの傑作をリリースしてきたスタジオP.A.WORKSが手掛ける初のオリジナル劇場アニメ。脚本家としてヒット作を出してきた岡田磨里の初監督作品でもある。作画陣は、「泣きの石井」こと石井百合子、カリスマアニメーター井上俊之、「ユーリ!! on ICE」などで知られるベテラン平松禎史、というドリームチーム。加えて各地で行われた試写会からは、恐ろしいほどの高評価が漏れ聞こえて来る…となれば、アニメファンで見に行かない人はいないと思うのだが、公開初日の上映館数はわずか76館。品薄商法を疑いたくなるほどの控えめな公開規模である。当然ながら初日の映画館は満席であった。
しかしその内容はというと、上記のようなタームに反応するようなアニメファンに向けたものでは全くなくて、反抗期を迎えた少年少女、子育てを頑張るお母さん、家族を支えるお父さん、子供が自立して孫の成長を見守るお年寄り、要するに日々を一生懸命に生きるすべての人たちに向けたものだった。
アニメらしいケレン味には欠けるものの丁寧に作られた画面と同じように、奇を衒うことなく人の生と死を丁寧に描いていく王道のストーリーであった。
泣かせの演出がくどい場面や、演出意図がわかりにくい場面がある、マキアとエリアル以外の人物描写が薄い、音楽を被せ過ぎ、といった問題点はあるものの、2月にして早くも2018年のベストアニメ映画の出現である、と言い切ってしまって構わないだろう。
間違いなく、幅広い年齢層に見て頂きたい傑作である。この映画の興行を「オタク映画」で終わらせてはならない。
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