ポルトのレビュー・感想・評価
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恋とは愛だけど恋はやはり恋なのかも
男性不信・女性不信・更にレズビアン・ホモセクシャル
などなどと性や性別様々な内面が複雑化してきてると考える人が多いのではないかと思う。しかしこの辺りのsex、性別の話は昔々から変わりは無いと思う。この作品の素晴らしく胸打つ優しさ暖かみを感じる所は、時間、刻、忘れられない甘い記憶、肌のぬくもり、Sexにたいしての思い、悩み、考えかたを様々な年代や視点で
織り交ぜながら答え出すことなく、辛くも美しくしっとり緩やかに流れてるところ。結局人は一人では生きて行けないと思う。いくら強がっても何をしてたって誰かに支えられ誰かに見守られて生きている。そして、それが本当に嫌になったり苦痛になってしまったら、この世と
サヨナラするのかもしれないが、映画好きな私はサヨナラバージョンの作品も見たりしてるので、なかなかサヨナラすることは無いと思うが、ただ本当に恋に溺れてしまったら今日見た作品のことも思い出せずにいるかもしれない。私はこの作品のテーマを「100年続く一夜の淡い夢の記憶」と勝手に名づけたい。女性の強さが男性を
思い悩ませ、男性の弱さが女性を思い悩ませる。
良い作品でした。
ポルトの風景と2人の感じが好き
ポルトで出会った男女2人の想い出の1日を、それぞれの視点、そして2人の視点の3編に分けて描かれていた。
とにかくポルトの風景や道、彼女の部屋など雰囲気がとても好みだった。音楽も。
ベッドにいる2人を天井から撮るとこなどパターソンを思い出す感じ。
ストーリーは特別何か起こるわけでもなくただ切なかったが全て合わせてよかったと思う。
同じ出来事も男女によって若干違うし、2人の視点シーンでは女の彼氏(夫になる大学教授)が全く出てこないのも面白かった。時間軸が難解なとこもありマティ(女)の本意が分かりにくいところもある。ジェイクはどの視点からでも彼女の事を溺愛してるのに。笑
結局今の2人ともあまり幸せそうではない。だからあの1日を思い出すのかなぁ。
女優のカラダがきれい。顔もカラダもこの映画に合ってると思いました。
時間の流れがよくわからない
2回、2人は出会っている。
教授との結婚式、子ども、バイオリンを弾く娘と突然やって来た夫?元夫?にイラついているマティは未来?
2回の出会いだけれど、朝マティが一人で戻って来たのは?
音楽、空、坂の多い街、カモメの群れ
そういうので楽しめたけれど、肝心のストーリーがわからなかったので、残念です。
哀しく美しい映画
繊細で空虚な哀しい話だな、だからこそ美しい映画だな、という感想を抱きました。
この恋がうまくいかない、すぐ終わるのもそりゃそうだよな、と思います。
マティは教授という社会的にいい感じの相手もいるし、大学や研究など居場所もある。一方、ジェイクは完璧に孤独で何者でもない。我に返ったら、事故物件みたいな男を振って教授を選ぶのも自然の理です。
しかし、そんな合理的な判断などクソくらえ、なんですよね。虚しく、なんの手ごたえもなく生きてきたと思われる2人が、恋をして結ばれて、生きる証のような強烈な実感を得れた。それにこそ至上の価値があるのではないでしょうか。
この映画、燃え上がった一晩以外に、ジェイクとマティが満たされているシーンは皆無だったと思います。ジェイクは言わずもがなですが、将来の描写からもマティもずっと満たされぬままなのでしょう。
そんな空虚な2人だから、刹那の恋に燃えがれたのかもしれないな、そして実はそれが2人…というよりマティにとって変容のチャンスだったのかも、と思いました。
(ジェイクにはマティとの関係しかないので、選択の余地はなかった)
もしかしたら、マティはジェイクとの恋で自分が変わるかもしれない、しかしそれは怖いと無意識的に感じていたのかも。
虚しくてもこのままでいたい、という心の奥底の怯えが優勢になり、教授を選んだ。これまで反復していたパターンを変えるのが怖くて、常識的な選択をした結果、何も変わらなかったのでは、と想像しました。
実際、ジェイクと行って変わるのか、と言われるとわかんないですし、現実的には地獄の展開が待っているかもしれません。しかし、煉獄から新世界へダイブするチャンスをマティは逃したのではないかと思えてならないです。
だからこそ哀しく感じたのかもしれません。
そんな哀しい物語は、どこか儚い雰囲気のあるポルトの夜にぴったり。この街が舞台だからこそ、哀しさがしみったれずに美しい物語に成り得たように感じました。
まぁ、新世界にダイブして成長するような脂ぎった話は、夜空がいつでも最高密度の青色であるきったねえ新宿の夜あたりがふさわしいでしょう。どっちが好きかと問われれば、新宿ですがね。
終わりのはじまりとしての短い恋
男と女の、ごく短い恋。映画は3つの章立てで構成されており、1章は男の名前「ジェイク」、2章目は女の名前「マティ」、そして3章目は二人の名前「ジェイクとマティ」と題されている。そしてそれぞれがまるで記憶をさかのぼるように時間を交錯させて描かれており、一つの短い恋の物語を何度も何度も反芻させて過ぎ去った恋に答えを探しているような感覚になる。ある時は別れを強く感じ、ある時は出会い思い返し、そしてある時は二人の蜜月の時を想う。しかしそれらはすべて「終わりのはじまり」でしかないことを観客もジェイクとマティ当人も知っている。同じ日、同じ時、同じ場所にいて、同じものを見ていても、男と女では思っていることも感じているものも少しずつすれ違う。その最初のすれ違いを、何度も蘇らせてはどうしてすれ違ってしまったのか?を問い直しているという風にも感じられた。
終わるために始まったみたいな恋だったし、終わりのはじまりで途切れてしまったような短い恋。恋の想い出なんて、自分以外のだれも気に留めないものだけど、それを映画にするのに一役も二役も買ったのがやっぱりポルトという街の魅力。とても美しくて素敵な街なんだけど、なぜか寂しさを感じるような空気がスクリーン越しに匂ってくるかのよう。製作総指揮にジム・ジャームッシュの名前を見つけて、なんだか妙に納得するような雰囲気を感じる作品だった。
アントン・イェルチェンは「今日、キミに会えたら」や「5時から7時の恋人カンケイ」など、不安定な短い恋物語との相性が良かった。今作ではちょっとした「ジュード・ロウ化」にびっくりしたものの、今となっては色っぽい美男子俳優を脱してクセのある性格俳優に成長したジュード・ロウの正当な後継者として、将来的に性格俳優的な演技もどんどん見せてくれそうな期待を感じていただけに、やっぱり彼の死はとても残念。仕方ないので、ジュード・ロウの後継はデイン・デハーンに託すことにしよう。注)頭髪との因果関係はありません
大変美しく、難解な恋愛映画
例えるならジグソーパズルのような映画でした。
時系列や視点をバラバラにして観客の頭の中で組み立てる。
この手法は映画館によく行くような方達にはお馴染みのやり方だと思います。
しかしその中でもかなり高度な思考を必要とする内容となっています。
問題の1日に関して簡単に理解できました。
しかしそれまでの二人の過去についての映像は相当に勘というものを働かせる必要がありました。
が、その辺はこの映画にとって重要な部分ではないと思います。
ズバリ街の空気に溶けた役者の演技と、切ない脚本(これがまた複雑で難解!)そして観客を試すような、現場へ連れて行くような、編集。
これらがこの映画の最大の見所であり魅力だと思います。
非常に高度で美しい恋愛映画でした。そして街の風景の素晴らしいこと!
旅行先を探している方にぜひ。
あとブーツを靴下無しで履くのはやめた方がいいと思います。
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