「恋ですらないけれど」ポルト Rubysparksさんの映画レビュー(感想・評価)
恋ですらないけれど
ジム・ジャームッシュが好きなので観ました。ストーリーの是非はともかく、まず、編集がジャームッシュっぽい!オシャレ!好み!と思った。切ない題材を扱うところも。製作総指揮ってどんな関わりかたをしたんだろう。登場人物に感情移入できなくても、観られて良かったと思える作品だった。
恋という言葉をレビューで見かけるが、あれは、恋ですらない、と思う。愛でもなければ、恋でもなければ、運命でもない。なんだろう?名前がつけられないなにか。育てていくことは決してできない、きらめきは今にしかない、幸せとはほど遠いのに、自分の意志とは関係なく、いろんな条件が重なって、堕ちてしまう穴のようなもの。そういう、なんのプラスにもならない、なのに惹きつけられてしまうなにかが、人生にはあるときもあるということ、とくに病んでいるときには。その短くとも濃厚な時間を、陳腐でなく描いた良作とおもった。
To Anton
というクレジットが切ない。
オンリーラヴァーズレフトアライブや君が生きた証に出ていたことを知ったけど、全然印象が違った。本作も、彼が生きた証になる作品だ。
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